自動参集へルール設定 県道路啓開計画 10月の策定・公表へ(県道路保全課)

[2024/8/29 栃木版]

 県道路保全課は27日、県庁舎内の会議室で第4回の県道路啓開計画策定協議会(会長・谷英夫県県土整備部長)を開催した。今回は、道路啓開計画の素案に対する意見照会の結果とその対応について協議し、素案からの修正内容を確認した。それによると、日光宇都宮道路も優先度の高い路線に追加したほか、今後の課題として道路パトロールにあたって自動参集ルールの設定や担当路線の割り振り、道路啓開に必要となる応急資材の備蓄やストックヤードの整備などを整理した。同課は、協議会の意見をもとに修正を加えて道路啓開計画を策定し、10月上旬の公表を目指す。

 議事を前に、谷会長は「県内で線状降水帯が発生したほか、宮崎県日向灘を震源とする地震で南海トラフ地震臨時情報が発表された。迫りくる自然災害に備え、速やかに道路を啓開する方策として、関係機関と緊密に連携しながら対応する重要性が改めて認識された」と述べて、活発な議論を呼びかけた。

 道路啓開計画の素案によると、「想定される自然災害」は宇都宮市の県庁直下にマグニチュード7.3の震源を設定。これにより建物7万0812棟が全壊し、道路は1409カ所、鉄道は746カ所で被害が発生すると想定する。

 事前の備えとしては、道路啓開にあたり県の道路班(県土整備部道路保全課、道路整備課)を中心に各道路管理者、県危機管理防災局、県警察本部、陸上自衛隊、電気事業者、電気・通信事業者、および災害協定を締結する県建設業協会などが緊密に連携し、その対応にあたる。

 啓開ルートの選定方針は、県域を越えて県の南北軸、東西軸を構成する広域道路の国道4号(新4号国道含む)、国道50号、東北縦貫自動車道、北関東自動車道の4路線の道路啓開を各道路管理者によって最優先で実施することとし、4路線の啓開状況を踏まえ、防災拠点間を結ぶ緊急輸送道路の中から優先的に啓開を実施する路線を選定する。

 発災後の対応は、発災から3時間程度で道路の被災状況を把握し、6時間程度で啓開ルートを決定して区間指定を行い、48時間以内に各方面最低1ルートの道路啓開を完了させる目標を定める。

 道路啓開に関する情報は本部道路班で集約し、他の道路管理者などの関係機関が収集した被災情報も情報共有を図る。各土木事務所長は、災害協定を締結する県建設業協会や県自動車整備振興会などに協力を要請し、投入可能な人員・資機材の報告を受ける。本部道路班は、この数をもとに班編成を検討する。

 啓開ルートは、最優先する国道4号など4路線の啓開状況を踏まえ、選定した防災拠点間を結ぶ緊急輸送道路の中から優先的に啓開を実施する路線を選定する。優先順位は[1]県本庁舎と総合運動公園、災害拠点病院と高速道路IC[2]県河内庁舎と宇都宮市役所、消防本部と県営都市公園[3]高速道路ICと道の駅(防災拠点自動車駐車場)[4]県土木事務所と道の駅-とした。

 道路啓開の実施では、作業目標やがれきの撤去、車両の移動方法などについて整理。また、道路啓開にあたり倒壊した電柱が支障となる場合、原則として電線管理者が倒壊した電柱、架空線の移動を行う。

 この素案を、協議会構成機関や市町危機管理部局・道路行政部局など計61機関に意見照会し、このうち20機関から155件の意見や質問があった。その内容は、啓開体制や啓開ルートの選定、啓開作業の手順に係るものなど、「事前の備え」や「発災後の対応」についての詳細な記述を求める意見が多く挙げられた。

 主な意見とその対応状況を見ると、対象となる自然災害について「風水害も対象となるか」の問いには、風水害による被害であっても啓開ルートの選定など参考にするため、その旨を記載する。

 啓開ルートに「日光宇都宮道路も最優先路線に追加すべき」との意見には、優先度の高い路線として追加。啓開の実施にあたっては「警察・消防による要救助者の捜索後に啓開作業を開始すべき」との意見を踏まえ、要救助者の救助後に啓開作業を開始するよう修正した。

 今後の課題として、被災情報の迅速な把握に向けては、各土木事務所で道路パトロールを実施する際の路線の優先順位を定めるとともに、災害協定に基づく道路パトロールにあたって自動参集ルールの設定や各協力者の担当する路線の割り振りなど、情報収集の効率化を検討する。また、収集すべき情報漏れを防ぎ、速やかな取りまとめ・共有ができるよう、報告様式の統一を図る。

 情報共有手段は、発災時に固定電話や携帯電話などの通信手段が使えない可能性もあることから、確実な連絡体制を構築できるよう通信手段の複線化を促進するとともに、情報共有手段の統一化を図る。

 道路啓開体制を確保に向けては、訓練を通じて橋梁部の段差修正などの技能の習熟を図るとともに、必要となる応急資材の備蓄、ストックヤードの整備を検討する。さらに重機などが不足することを想定し、新たな災害協定の締結など道路啓開体制の強化を検討する。

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