4漁港で防波堤補修 長渡漁港は延伸検討(宮城県 石巻市)

[2024/8/6 宮城版]
 石巻市は水産物供給基盤機能保全事業で、4漁港の防波堤を補修するとともに、複数の漁港で浚渫などを進める。防波堤はいずれの漁港も腐食した鋼管杭を補修する。市総合計画の実施計画(2024~26年度)では、同事業の3カ年の事業費に計12億3550円を試算している。このほか、漁港施設機能強化事業で長渡(ふたわたし)漁港の防波堤を延伸、または新設できるかどうかを検討する。

 防波堤を補修するのは▽水浜分浜▽折ノ浜▽牧ノ浜▽月浦──漁港の4カ所。いずれもカーテンウォール式の区間を補修する。カーテン式は地中に鋼管杭を打ち込み、その上にコンクリートを載せている。一部の鋼管杭は腐食して穴が開いているため、穴をふさいで電気防食工事を行う。

 雄勝町水浜地区の水浜分浜漁港は、北防波堤の補修工事を段階的に進めており、これまでに5件の工事を発注した。昨年度は延長98m区間の補修工と79個の防食工をスリーテック(石巻市)が施工した。

 本年度は9月までに最後の補修工と防食工を発注する予定だが、場合によっては25年度にずれ込む可能性がある。概算工事規模は9900万円程度を見込んでいる。

 折浜地区の折ノ浜漁港は、延長118.8mの折ノ浜防波堤のうち、カーテンウォール式となっている延長53m区間を補修する。工事は24年度から3カ年かけて進める計画で、全体の概算工事費が1億3000万円程度になる見込み。本年度は初弾工事を9月までに一般競争入札で発注する。

 調査設計業務は22年度に八千代エンジニヤリング(北日本支店・仙台市青葉区)に委託した。業務内容は544カ所の鋼材調査(肉厚測定)と、基本・細部・詳細設計の作成だった。

 牧ノ浜地区の牧ノ浜漁港は、延長70m区間を補修する。工事は24年度から3カ年程度かけて進める予定。全体の概算工事費は2億3000万円程度。昨年度は調査設計業務を中央技術コンサルタンツ(石巻事務所・石巻市)に委託した。業務内容は124カ所の鋼材調査や、基本・細部・詳細設計の一式。

 本年度の工事は一般競争入札(事後審査)の手続きを公告中で、市内に本店を置く土木一式工事がBかA等級の事業者を対象に、8月6日まで参加申請書や入札書を受け付け、翌7日に開札する。工期は12月27日まで。

 月浦地区の月浦漁港は、補修延長が44.8mで、24年度に実施設計業務を委託し、25年度から工事を進める見通し。

 浚渫は北上漁港、大須漁港、鮫ノ浦漁港、新山漁港、谷川漁港、熊沢漁港などで予定しているが、26年度までに全て工事着手できるかどうかは未定。本年度は長面漁港泊地航路浚渫工事と、鮫ノ浦漁港ほか2漁港の泊地航路浚渫工事を発注するため、一般競争入札(事後審査)を公告した。

 長面漁港の工事は4255立方mの浚渫工などで、工期が25年1月31日まで。鮫ノ浦漁港ほかの工事は、同漁港と小淵漁港、蛤浜漁港で5649立方mの浚渫工などを行う。工期は25年3月21日まで。

 入札の参加資格は市内に本店を置き、土木一式工事がA等級であることや、「しゅんせつ工事」の特定建設業許可を持つことなど。8月6日まで参加申請書や入札書を受け付け、翌7日に開札する。

 同事業ではほかにも各漁港で細々とした工事を行う。

 実施計画に盛り込んだ事業費の内訳を年度ごとに見ると、24年度が2億6950万円、25年度が4億9875万円、26年度が4億6725万円となっている。

 長渡漁港は延長274.6mの東防波堤と、延長157.3mの西防波堤が設けられているものの、港内に波が入ってきてしまうため、東防波堤の延伸、もしくは東と西の間に新たな防波堤を整備できるかどうかを検討する。

 本年度に静穏度解析業務を委託し、費用対効果も調べながら実際に延伸、または新設するかどうかを見極める。

防潮堤を長寿命化

 同市は、市総合計画の実施計画(24~26年度)に海岸堤防等の老朽化対策事業を盛り込んでおり、長寿命化工事を進める。3カ年の事業費は1億3086万円を試算している。

 老朽化対策を予定しているのは長面漁港や荒漁港の防潮堤、名振漁港の水門など。防潮堤は東日本大震災の後に造り直したが、すでに10年以上が経過してひび割れや部品の劣化などが見られるため補修する。水門は水密ゴムなどを直す。

 事業費の内訳を年度ごとに見ると、24年度が1860万円、25年度が734万円、26年度が1億0492万円。

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