[2024/8/1　栃木版]

　県企業局(小林宣夫局長)は7月30日、2024年度第1回経営評価委員会(委員長・大森宣暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)を開き、23年度の経営戦略の進捗状況を委員に説明した。経営指標の達成度評価では水道と工業用水道、用地造成、施設管理の賃貸ビルがA評価で、風見発電所全面改修事業が影響した電気とクラブハウスのリフォームが影響した施設管理の県民ゴルフ場がB評価となった。引き続き本年度は、深山発電所の25年度の発電再開に向けて大規模改修を着実に進めるほか、水道事業では太陽光発電設備と、管路の更新について検討を開始する。また用地造成事業は、鹿沼インター産業団地の造成に加え、みぶ中泉産業団地の造成工事にも着手する。

　議事に先立ち、小林局長は「先般取りまとめた23年度決算では、いずれの事業も経常利益を確保することができた」と報告して経営に対する委員からの忌憚のない意見を求め、そのあと各課長から各事業の23年度の経営状況を説明した。

　電気事業は、風見発電所全面改修事業の遅延で発電再開が遅れたが、FIT適用発電所の販売電力量が増加したことや費用の削減などにより黒字を達成。各施設では施設の更新や耐震化を計画的に進めており、風見発電所全面改修は、使用機器の製作据付、水圧鉄管の更新などを実施して、24年3月に発電を再開。深山発電所の大規模改修は、25年度の発電再開に向けて着実に工事を進めている。

　また地域貢献の拡充にでは、とちぎふるさと電気による環境保全事業の支援に加え、24年度から新たに市町が実施する地域脱炭素化促進事業への支援を開始した。これらを踏まえ、年間供給電力量が目標を下回ったことから自己評価をBとし、委員会もB評価を妥当と判断した。

　水道事業は、財政面で目標通り経常利益を確保し、年間供給水量も目標を達成。施設は23年度に薬品注入設備更新工事を実施するなど、計画的に設備の更新を図っている。耐震化等の推進では、管路施設耐震化等検討会で検討しており、24年度には管路の更新についても検討項目に加えることとしている。

　応急復旧改正の強化では、日本水道協会と連携して対応しており、本年1月に発生した能登半島地震でも企業局職員23人を延べ18日間にわたり派遣して、被災地で応急給水活動を実施した。SDGs達成への貢献では、温室効果ガス削減のため23年度に太陽光発電設備の詳細設計を委託し、24年度に北那須水道事務所で増設、鬼怒水道事務所で新設することとしている。このように、いずれも目標値を達成したことから自己評価をAとし、委員会もAと評価した。

　工業用水道事業も、財政面で目標通り経常利益を確保し、年間供給水量や需要拡大に向けたPR活動なども目標を達成。施設は薬品注入設備の更新工事などを実施しており、耐震化等は水道事業と同様、管路施設耐震化等検討会の検討項目に管路の更新も加える。

　需要拡大に向けては、ターゲットを絞った営業活動で未給水区域の企業に対してアンケートを実施し、SDGs達成への貢献では太陽光発電設備の詳細設計を委託した。自己評価は、いずれも目標値を達成したことからAと評価し、委員会もAと評価した。

　用地造成事業は、財務面で当初計画より少ないものの経常利益を確保しており、経営戦略期間の5カ年中に1億円の経常利益を確保できる見込み。分譲面積や案内可能面積、企業誘致活動の達成状況は、企業等訪問件数が分譲の前倒しで予定より早く立地企業が決定したため達成出来なかったが、その他はいずれも目標を達成している。

　取り組み実績等のうち、立地環境の整備では23年度に鹿沼インター産業団地の造成工事を進め、24年度は鹿沼インター産業団地に加え、みぶ中泉産業団地の造成工事に着手する。これらを踏まえ、いずれも目標値を達成したことから自己評価をAと評価し、委員会もAと判定した。

　施設管理事業の県民ゴルフ場事業は、クラブハウスリフォームに伴う既存設備の除却費用の発生で経常損失となったものの、利用者の満足度や利用者数の確保はいずれも目標値を達成した。

　計画的で効果的な設備投資は、クラブハウスリニューアル工事として23年度はトイレ、洗面所の器具の更新や、内装改修を実施した。24年度は、浄化槽ブロアー交換工事や駐車場区画線修繕工事などを実施する。自己評価は、経常損失を踏まえてBと評価し、委員会もB評価とした。

　また賃貸ビル事業は、財務面・事業面ともに目標を達成。取組実績のうち、省エネ化の推進では23年度にプロポーザルでESCO事業の事業者を選定し、24年度は省エネルギー化改修工事を実施する。自己評価は目標達成によりAと評価し、委員会もAと評価した。