県議会土木企業立地委が県内調査 大場遊水地など視察
[2024/7/31 茨城版]
県議会土木企業立地推進委員会(黒部博英委員長)は、7月29日に県内調査を実施。大場遊水地など那珂川緊急治水プロジェクトの工事現場を視察したほか、茨城港常陸那珂港区の整備状況の説明を受けた。黒部委員長は、那珂川緊急治水プロジェクトなどの着実な進捗に期待を示した。
今回の県内調査では、常陸大宮市内で整備を進める那珂川緊急治水プロジェクトの大場遊水地や堤防整備箇所を視察したあと、茨城港常陸那珂港区に移動し、港内の各施設を見学した。このうち、那珂川緊急治水プロジェクトで進める大場遊水地の建設現場では、国土交通省常陸河川国道事務所の佐近裕之所長が工事内容や進捗状況などについて説明した。
那珂川緊急治水プロジェクトは、19年に発生した「令和元年東日本台風」により甚大な被害を受けた那珂川水系を対象として、多重防御治水(河道・流域対策)や減災に向けた取り組み(ソフト施策)を進めるもの。事業期間は19-26年度で、ハード事業では東日本台風の洪水規模にも本川からの越水を防止するため、河道掘削や遊水地、堤防整備などを実施している。総事業費は約813億円(国669億円、県144億円)を投じる計画だ。
大場遊水地の建設現場で行われた説明ではまず、黒部委員長が調査への協力に謝意を述べたうえで、今回の内容を「今後の委員会に生かしていきたい」と話した。続いて佐近所長が、那珂川緊急治水プロジェクトのきっかけとなった東日本台風の状況や、那珂川流域の被害を説明。これを受けて開始したプロジェクトについて、進捗状況や大場遊水地の概要について紹介した。
那珂川左岸の常陸大宮市と城里町にかかる大場遊水地は、東日本台風と同様の大雨による水位上昇時に、一時的に河川の水をため込み、水位の調整を行う施設。大桂大橋を挟んで延長約400m、面積約150haで計画する。22年度からは、排水門新設工事(施工は三井住友建設)や排水門ゲート設備工事(施工は日立造船)、小場地区の周囲堤築堤工事(施工は清水建設)などに着手している。
6月末現在の進捗率は、設計が完了したほか、用地補償は35%、工事は21%となっている。今後は下流側の囲繞堤なども進めていく予定で、佐近所長は26年度の事業完了へ協力を求めた。
黒部委員長は、那珂川緊急治水プロジェクトについて、「災害が起きないことが一番」としたうえで、災害は年々甚大化しているとして、まずは26年度の完成に期待を示した。完成後の堤防上の活用などには、「御前山ダムなども活かしながら、使える環境を考えていきたい」と話し、その前提として、事業の着実な進捗を訴えた。