基本構想の素案協議 庁舎整備検討委 次回答申書案の検討も(那須烏山市)
[2024/7/31 栃木版]
那須烏山市は30日、南那須図書館で第12回市庁舎整備等検討委員会(委員長・三橋伸夫宇都宮大学名誉教授)を開催した。今回の会議では、これまでの協議の結果を踏まえた那須烏山市庁舎整備基本構想の第2次素案と、委員会の付帯意見とするまちづくりのグランドデザインについて協議した。9月の次回委員会では、委員から今回出た意見をもとに修正した基本構想案を協議するとともに、答申書案の内容を協議する予定。協議の結果を反映して修正したうえで、9月か10月ごろにも市長に答申する予定としている。
市は合併以来、旧町庁舎を活用した分庁方式を採用してきたが、行政サービスの効率化や既存庁舎の耐震性能の不足を理由に、新庁舎の整備を検討してきた。2023年6月からは、新たな庁舎整備検討委員会を組織し、従来の計画を見直したうえで検討を重ね、今後の庁舎方式のあり方や規模、候補地などを新たに取りまとめた。
それによると、新たな庁舎は原則本庁方式を採用し、烏山地区に整備する。あわせて、市民の利便性や災害時のリスク分散の観点から、南那須地区にも地域の窓口機能を配置する。新庁舎の想定必要床面積は概ね5700平方mとし、来庁者用等駐車場が4000平方m(160台)と想定して、職員駐車場は基本構想と別途に検討。これらを基に、必要敷地面積を2階建ての場合は7535平方m、3階建ての場合は6490平方mを見込む。
新庁舎候補地は[1]中央公園(市有地、約1万9500平方m)[2]金井1丁目地内(商業施設跡地、約7400平方m)[3]JR烏山駅周辺(市有地+民有地、約1万3400平方m)-の3カ所から選考し、3次評価で委員から最も支持を集めたことや市民の声などを踏まえ、JR烏山駅周辺を新庁舎候補地を選定した。
なお、現在の烏山庁舎と南那須庁舎は本庁舎移転後に解体し、跡地を有効活用する。保健福祉センターは今後も利活用し、南那須地区の窓口機能を配置。教育委員会は、将来的な本庁舎への統合を視野に、当面の措置として保健福祉センターに配置する。また水道庁舎も、浸水対策を含む改修を行ったうえで、今後も存続させる。
事業手法については、公設公営方式の「従来方式」と「DB方式」、公民連携方式の「PFI方式」から、基本計画を進めていく過程で検討する。事業スケジュールは合併特例債の活用も見据えて、25年度に基本計画をまとめて26・27年度の2カ年で基本・実施設計を策定し、28年度と29年度の2カ年程度で建設工事を実施すると想定している。
市では新庁舎整備に関する市長からの5項目の諮問内容を答申するにあたり、まちづくりグランドデザインを描いて付帯意見として提出する。そこでは「交流」をキーワードとして、烏山市街地の「都市活動拠点エリア」と南那須市街地の「都市生活拠点エリア」を配置し、横軸をJR烏山線と県道10号線がつないで相互に交流するイメージとしている。JR烏山駅周辺は新庁舎を烏山地区の行政コアに位置付け、南那須地区は保健福祉センターを行政コアに位置付ける。
ゾーニングは、JR烏山駅と新庁舎を中心としたエリアを「新たなふれあい交流ゾーン」とし、新庁舎のほか子育て施設や図書館、市民ホール、運動施設など幅広い世代が交流できる新たなふれあいの拠点を整備するとともに、公共交通の結節点としての機能向上を目指す。
また保健福祉センターやJR大金駅を中心としたエリアは、なすから認定こども園やナスカラ市場、南那須図書館といった子どもの利用が多い施設を含んだエリアであり、「子育て交流ゾーン」とする。このゾーンには公園などを整備することで、子どもたちや保護者が気軽に集まり、交流を深めることができるエリアとする。
このほか、山あげ会館と清水川せつらぎ公園を含むエリアを「賑わい交流ゾーン」、現在の烏山庁舎と烏山図書館、そして烏山城跡を含んだエリアを「歴史・文化交流ゾーン」、中央公園を中心としたエリアを「学びと活力交流ゾーン」や「安全・安心交流ゾーン」、南那須緑地運動公園を含んだエリアを「スポーツ交流ゾーン」、烏山南公民館跡やすくすく保育園跡を含んだエリアを「広域交流ゾーン」と位置付けている。
委員からは、現在の庁舎だけでなく、その他の公共施設の防災対策が遅れていることを逆に好機ととらえて、これら施設の整備にあたり、市民第一に考えた防災施設のあり方を盛り込むよう求める意見などが出ていた。