漏水調査の候補者特定 愛知のジャパン21に 衛星活用(宮城県内外12市町ら)

[2024/7/25 宮城版]
 県内11市町と福島県相馬地方広域水道企業団でつくる共同発注協議会は24日、「衛星を活用した水道管路の漏水調査業務」の優先交渉権者をジャパン・トゥエンティワン(本社・愛知県豊橋市)に特定したことを明らかにした。業務では人工衛星の画像解析技術を使った送配水管の状況調査・解析を担当する。

 優先交渉権者の選定に当たっては、協議会の事業者選定委員会で選定した。今後、選定結果を踏まえ協議会を構成する市町・企業団がそれぞれ契約に向けて協議するため、契約時期は未定。提案上限額も構成メンバーごとに設定しており、その合計額は5700万円となっている。

 優先交渉権者に選定されたジャパン・トゥエンティワンは、後付け警報装置といった製品の輸入・販売・サービス提供を展開する企業。インフラ事業において国内世紀代理店として衛星画像を使った漏水検知システム「アステラ」を取り扱う。

 優先交渉権者は、6月20日からプロポーザルの手続きを開始し、企画提案、プレゼンテーションの審査を経て、7月24日に結果が通知された。次点や参加企業数などは非公表。

 本県と福島県の12の水道事業体は、コスト削減と業務効率化を目的に、これまで個別発注していた水道の漏水調査を共同発注することとし、3月19日に基本合意を締結した。水道事業において県域を越えた調査業務の共同発注は全国初。共同発注協議会のメンバーは本県の気仙沼市・白石市・角田市・登米市・栗原市・富谷市・村田町・柴田町・丸森町・大郷町・涌谷町、福島県の相馬広域水道企業団。

 調査業務の対象は、この12水道事業体が保有する計6179kmの送配水管路で、業務ではLバンド帯のレーダーを搭載した人工衛星を使って、この送配水管の衛星画像データを取得し、漏水の可能性のある区域の調査・解析を行う。人工衛星は原則JAXA所有の「だいち2号」を使用する。成果データのとりまとめも含め、履行期間(契約期間)は2025年2月28日まで。

 人工衛星で電磁波を当て、その反射から水の流量・流れを解析し、漏水の可能性が高い管を抽出する。膨大な水道管を地道に調査する従来手法より、スポットで不具合が把握できるメリットがある。この調査結果をもとにした不具合箇所の路面音聴調査や修繕は、従来通り市町が発注する。

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