国道293号BPを推進 主要事業 浅川の越水対策で築堤など(県常陸太田工事)
[2024/7/23 茨城版]
県常陸太田工事事務所(鈴木敬所長)は、本年度の主要事業をまとめた。幹線道路の整備では、国道293号常陸太田東バイパスや常陸太田大子線、常陸太田市道0139号線などの整備を推進する。河川改修では、浅川での越水対策や、里川で樋菅詳細設計や地質調査などを行う。このほか、既設橋梁の耐震補強事業として、幸久大橋の耐震補強工事を実施していく。
幹線道路整備事業のうち、国道293号常陸太田東バイパス整備事業(常陸太田市大森町~増井町)では、本年度に道路改良舗装工事や用地買収を行う。同線は県北地域を東西に横断して栃木方面につながる広域幹線道路であり、常陸太田市内から日立市などへの通勤ルートとしても重要な役割を担っている。しかし、現道は市街地の中心部を横断し、幅員が狭く屈曲しており、市街地では朝夕の通勤時間帯を中心に交通渋滞が発生している状況にあることから、課題解決に向けて常陸太田東バイパスの整備を進めている。
全体計画は延長8990mで、総事業費は約214億円と試算。21年8月末には長尾橋を含む440m区間を部分供用するなど、進捗率は23年度末で76%(5620mで部分供用済)となる。
常陸太田大子線道路改良事業(常陸太田市天下野町)では、本年度に道路改良舗装工事と用地買収を進める。同線は常陸太田市の旧水府地区を南北に縦断し、大子町方面を結ぶ幹線道路。緊急輸送道路であるとともに、沿線には県北地域を代表する観光地の竜神峡があり、観光客の利用も多い路線となっている。
これまでには、改良事業を進めてきたが、依然として狭あいな未改良区間が残るなど、秋の紅葉時期には、竜神大吊橋入口交差点を中心に渋滞が発生している。このため、18年度には竜神大吊橋入口交差点付近の640m区間の拡幅事業に着手。測量と設計、用地取得を進め、21年度に着工した。全体計画は延長640mで、総事業費は約10億円。進捗率は71%となっている。
常陸太田市道0139号線整備事業(日立市金沢町~常陸太田市幡町)では本年度、常陸太田市で用地買収を実施しながら、同事務所により道路改良工事や橋梁工事、環境調査を進める。同線は日立市と常陸太田市を結ぶ幹線道路として常陸太田市の「合併まちづくり計画(新市建設計画)」に位置付けられ、常陸太田市が事業主体となって整備を進めている。県は18年度から調査・設計と工事などの業務を市より受託し、事業が円滑かつ短期間に進むよう、技術的支援を行っている。全体計画は延長5050m。なお、21年度から現地工事に着手している。
河川改修では、浅川総合流域防災事業(常陸太田市松栄町~大方町)では本年度、堤防整備と河道掘削を実施する。浅川は、旧金砂郷地区を流下し久慈川に流入する一級河川。このうち、久慈川合流から副堰橋(常陸那珂港山方線)までの1500mでは、越水対策としてコンクリートブロック張による法尻補強や堤防整備、堤防天端の舗装など実施している。また、当該改修区間の狭窄部で流下能力を確保するための河道掘削を行う。全体計画は延長4100mで、進捗率は83.5%。総事業費には27億1000万円を投じる。
里川河川改修事業(常陸太田市常福地町~日立市東河内町)では、本年度に樋管設置と樋管詳細設計、地質調査を行う。里川は、旧里美村、旧常陸太田市を流下し、久慈川に流入する一級河川。常陸太田市常福地町と茅根町では、「令和元年東日本台風」によって、甚大な被害が発生したことなどを受け、災害関連事業により堤防整備や河道掘削を行い、流下能力を向上させ、家屋浸水被害の解消を図る。全体計画は延長1万0200mで、総事業費には58億3000万円を投じる。進捗率は7.1%となる。
橋梁の耐震化事業では本年度、幸久大橋の耐震補強工事が計画されている。この事業は、地震時における救急活動や緊急物資の輸送などに重大な影響を与える橋梁について、緊急輸送道路で対策の必要な橋梁の耐震化を図るもので、同事務所管内では、国道349号三才跨線橋など56橋が対象となる。進捗率は82.1%で、これまでには46橋の耐震補強工事が完了している。