建設地に鹿鉄跡地 複合文化施設 来年度から基本・実施設計(石岡市)
[2024/7/18 茨城版]
石岡市は9日、八郷総合支所で市複合文化施設整備審議会を開催した。今回の会議では、建設候補地となっている鹿島鉄道跡地(約7700平方m)と市営駅東駐車場(約6900平方m)の2カ所の比較検討を行い、建設地に鹿島鉄道跡地を選定した。今後は概算事業費や整備手法などを検討する予定で、本年度内に基本計画をまとめ、来年度から基本・実施設計に着手する見通しだ。
複合文化施設整備事業は、老朽化を受けて閉館した市民会館の移転改築を行うもの。基本構想によると、新施設にはホール機能を盛り込むことを明記。その際には、近隣自治体の類似施設と差別化し、市のシンボル感や存在感、個性を持たせることで、県南地域の中でも特色あるホールを目指していくとした。現在は基本計画の策定を進めているところで、業務は横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)が担当する。
審議会の中間答申によると、施設機能についてホール機能として、メインホールとサブホールの2つを整備することを明記。このうち、メインホールは、音楽や演劇など、本格的な文化活動に利用できる施設とする。規模は旧市民会館の規模や今後の人口予測などを踏まえ、600-800席程度とした。
サブホールは、ダンスや軽スポーツ、小規模な集会・講演会、ギャラリーなど、若者などの小規模団体でも気軽に利用できる施設とする。規模は150-200席程度とし、座席やステージが収納可能な平土間形式を採用していく。
ホール以外の機能については、▽市民ギャラリー▽アトリエ・工作室▽音楽スタジオ▽和室──などを盛り込み、子育て支援や部活動の地域移行、学び直しを意識し、幅広い年代の市民が多様な文化芸術活動を体験できる環境を整備することを求めた。あわせて、▽図書館の一部の機能(図書スペース)▽会議室▽学習スペース▽調理室▽小さな子どもが遊べる屋内スペース▽民間テナントスペース──の機能も整備するとしている。
事業手法については、施設整備は公設を基本とすると明記。ただし、設計者の選定にあたっては、想像力や技術力など、民間事業者が能力を活用するため、コンペやプロポーザルを検討することを要望する。運営・維持管理については、市民や地域との関わりを留意しながら民間活力を積極的に活用することを求めている。
今回の協議では、鹿島鉄道跡地と市営駅東駐車場に複合文化施設を整備した場合の比較検討を実施。それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、鹿島鉄道跡地を建設地に決定した。同地の主なメリットには、東西自由通路から直接接続が可能なことや、鉄道利用者への情報発信(誘客効果)、高校生・大学生の呼び込みなどを挙げた。
候補地から外れた市営駅東駐車場では、今後も駐車場として利用していく。ただし、この駐車場では老朽化が進行しているため、複合文化施設の整備と同時並行で改修を行う計画で、改修方法については、これから検討していくという。
今後は、複合文化施設の概算事業費や整備手法などを検討していく。次回の審議会は9月下旬にも開催する見通しとなっている。その後、本年度内の基本計画策定を目指す。
基本計画策定後は、25-26年度の2カ年で基本・実施設計をまとめ、27-29年度の3カ年で本体工事を実施する。供用開始は30年度になる見通しだ。