事業費が30億円増 本年度に掘削38万立方m発注 吉田川の大規模災害関連(北上川下流河川事務所)

[2024/7/13 宮城版]
 国土交通省北上川下流河川事務所は、鳴瀬川水系吉田川の大規模災害関連事業について事業計画を変更した。現場条件の変更や建設資材単価の高騰などで、これまで約241億円としていた事業費を約30億円増額し、約271億円に修正。事業期間については当初計画通り2025年度の完了を目指す。

 吉田川の大規模災関事業は、沿川の東松島市、松島町、大崎市、大郷町、大和町、大衡村で、支流の善川と合わせて河道掘削を進めている。2019年の東日本台風で破堤した大郷町中粕川地区の堤防は、位置を後退させて造り直している。

 事業費は毎年、12月ごろに補正予算で配分されているため、本年度もその頃に事業費を確保して残り(最後)の掘削工事を発注し、来年度の全体完成を目指す。残りの掘削土量は約38万立方mで、掘削工事は数件に分けて発注することが想定される。

 今回の事業費の変更は、掘削土量の増で31億円の増、土質に応じた運搬距離の変化による増で21億円の増となった。この中には建設資材単価等の高騰分も含まれる。一方で、地質条件の想定との差異による減で12億円の減、施設改築の見直しによる減で10億円の減としている。

 掘削土量については、低水河岸を残すなど環境に配慮した掘削形状へ変更したことなどで、当初の約110万立方mから約50万立方m増の約160万立方mに見直した。

 土質に応じた運搬距離の変化は、事業箇所が上流に移り、これまで近場だった掘削土の運搬箇所が遠距離になったことに加え、築堤盛土や他事業に適さない土砂の処分が見込まれることによる。

 なお、本年度は昨年度の補正予算を活用して約36万立方mの河道掘削を進めているほか、仮締切堤の撤去工事や、大郷町から受託している避難道路の整備工事を発注する。

 仮締切堤の撤去工事と避難道路の整備工事は9日付で一般競争入札の手続きを公告しており、16日まで参加申請書、24日まで入札書を受け付け、8月23日に開札する。

 2件とも入札の参加資格は単体企業か経常JVで、県内に本社があり、東北地方整備局から一般土木工事がC等級の資格認定を受けていることなど。概算工事規模は仮締切堤の撤去が6000万~1億円、避難道路の整備が2億~3億円。

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