下河原センターの機能停止 水道管整備は年70億円と試算(宇都宮市)
[2024/7/13 栃木版]
宇都宮市は11日、市上下水道局庁舎で第4回上下水道事業懇話会(座長・太田正作新学院大学名誉教授)を開催した。今回は持続可能な上下水道に向けて、施設・管路・管渠更新などの事業の実施状況と今後の取り組みなどについて協議した。下河原水再生センターは汚水処理機能を廃止し、27年度までに川田水再生センターへ汚水の送水ができるよう、既存施設解体や送水設備整備を実施する。
市の水道事業は、目標耐用年数を迎える前に優先度の高い管路から前倒しで更新し、老朽管更新と耐震化を一体的に進めている。また、主要施設も老朽化しており、施設の適切な更新を進めている。引き続き、老朽度・耐震性・運用面の重要性等を考慮し、老朽化が著しい施設や更新の優先度が高い施設を優先的に更新していく。
水道管路の更新は、22年度が16.6kmの整備に、36億1000万円を充当している。事業平準化の考えで、22年度の実績に基づき長期的な目標で年間1%の更新を見込む場合、1km単価が2億2000万円と試算した。市の水道管路の総延長は3200kmとなっており、年間32km(目標耐用年数100年)の整備で約70億4000万円が必要と見積もった。
下水道事業は、近年の大規模地震の影響から、国が目標年度を前倒して40年度までに耐震化率100%の達成を掲げた。管渠は、管の材質ごとに目標耐用年数を見直し、優先度の高い管渠から計画的に更新していく。ヒューム管の耐用年数は72年、塩化ビニル管は100年に見直している。
川田水再生センターは老朽化のほか、耐震性や耐水性の確保などで課題があるため、重要機能の耐震化・耐水化を図る。現有敷地内では、汚水処理施設の耐震補強、沈砂池ポンプ棟の新設を行う。また、耐震化できない施設は隣接する旧食肉地方卸売市場跡地を活用し、管理棟・汚泥棟・沈砂池ポンプ棟を新設して、汚水処理施設の一部建て替えを実施する。
下河原水再生センターは老朽化に伴い、汚水処理機能を川田水再生センターへ部分統合する。下河原水再生センターの汚水処理施設を廃止して解体し、川田水再生センターへ汚水を送る送水ポンプ施設を新設する。受入先の川田水再生センターでは、汚水処理施設の能力を増強する。
支出削減策としては外部委託のほか、掘削しない確認・調査方法として、水道管路でAI劣化診断業務や人工衛星を活用した漏水解析等のDXなどの新技術を活用していく。
市の上下水道の広報事業では、給水スポット「宮の泉」の拡充を進めている。4月にはオリオンスクエアに、宇都宮市管工事業協同組合が寄贈した宮の泉を設置した。小学校版宮の泉も設置する考えで、泉が丘小学校と今泉小学校、城東小学校では校外にある水飲み場を高架水槽方式から直結給水方式の水道に切り替えた。夏休みごろには外装工事を行い、9月以降に公開する。