IC周辺で新たな産業用地の検討本格化(千葉県市原市)
[2024/6/22 千葉版]
千葉県市原市は、インターチェンジ(IC)周辺で、新たな産業用地の確保に向けた検討を本格化する。調査した結果、誘致する業種として、姉崎袖ケ浦IC周辺では製造業や物流業、市原鶴舞IC周辺では観光・レジャー業、食品製造業、専用倉庫などの立地ニーズがあることが分かった。ICごとの整備主体や開発手法の方向性をもとに、産業誘導の取り組み方針をとりまとめる考えだ。
市商工業振興課は2023年度に産業用地適地選定調査を実施。企業や開発事業者に対してニーズアンケートやヒアリングを実施したほか、法規制や土地利用、交通アクセスなど、IC周辺地域の現状について整理した。
館山自動車道の姉崎袖ケ浦IC周辺は、農用地や埋蔵文化財、保安林などが多く分布し、傾斜のある土地があり、一部で土砂災害特別警戒区域が含まれている。
市街化調整区域となっているため、土地を開発するためには、地区計画などの手続きが必要となり、時間がかかる見通し。調査区域以内の農用地は一団の土地でなく、点在しているため、大規模な産業用地を確保しにくいなどの課題があるという。
調査した結果、臨海コンビナートとの近接性から、専門倉庫や化学工業の立地が見込まれることや、都心にも近いことから食品製造業の立地ニーズがあることが確認できた。
首都圏中央連絡自動車道の市原鶴舞IC周辺は、市原ぞうの国や高滝湖、グランピング施設が近くにあり、周辺のゴルフ場利用者が通過するなど、観光地の要素が高い。農用地が広がっているが、都市計画区域外であることから、開発に伴う手続きは簡素化される見通し。
課題としては、農用地区域からの除外など、法令上の手続きが必要となるほか、大規模工場などを誘致した場合、従業員や交通手段の確保が難しくなっている。
調査結果をみると、周りに観光施設が多いことから観光・レジャー業のほか、食料品製造施設・保管倉庫などに立地ニーズがあることが判明した。
23年度に副市長をトップとして庁内横断的に設置したプロジェクトチームを活用し、ICごとの望ましい業種や整備主体、開発手法の方向性をもとに、産業誘導の取り組み方針をとりまとめる考えだ。
酒巻達也経済部長は「今後も県と連携を図り、両IC周辺への産業誘導により、新たな雇用の創出や地域経済の活性化、移住定住などの促進につなげていきたい」と話している。
産業用地適地選定調査事業は日本都市技術(東京都中央区)が担当した。