[2024/6/18　千葉版]
　成田空港周辺の地域づくりに関する「実施プラン」を見直す。旅客ターミナルなどの再編を検討している「新しい成田空港」構想を踏まえ、国際的な産業拠点形成の取り組みを拡充するほか、空港へのアクセス強化やまちづくりを支える道路網の検討を本格化する方向性が盛り込まれている。

　17日に開催された「成田空港に関する四者意見交換会」で千葉県が明らかにした。熊谷知事や成田国際空港(NAA)の田村明比古代表取締役社長、国土交通省の平岡成哲航空局長、空港周辺9市町の首長らが参加し、とりまとめ作業が進む「新しい成田空港」構想や成田空港周辺の地域づくりに関する「実施プラン」の見直しについて意見を交わした。

　実施プランについては、2020年3月の策定後、NAAの「新しい成田空港」構想の中間とりまとめのほか、地域未来投資促進法に基づく「成田新産業特別促進区域基本計画」の作成、空港周辺9市町のまちづくり計画の進展などがあったことから、見直しを実施する方針だ。

　計画期間は2032年度まで。地域の将来像として、「空港を核として、都市と田園が調和し、暮らしや産業の拠点として選ばれるエアポートシティ」を目指す。

　成田空港周辺地域でも空港を生かした産業が発展することで、地域と空港が互いに持続的に発展し続ける将来像を掲げるとともに、国際的な産業拠点の形成に向けた取り組みを拡充していく。

　「新しい成田空港」構想の中間とりまとめで示された空港の将来像や、市町のまちづくり計画に基づく拠点整備の進展などを踏まえ、空港や鉄道駅と各市町の拠点間を結ぶ地域公共交通の充実を図り、空港周辺道路の整備などについて基本的な考え方を示している。

　具体的には、空港へのアクセス強化やまちづくりを支える道路網の充実を図るため、将来の交通動向により整備が必要となる路線や、市町のまちづくりなどで新たな交通需要が見込まれる道路について、道路整備計画の策定に向けた検討を進めていく。

　世界的な要請が高まっている脱炭素の取り組みについては、世界から選ばれる空港となるため、空港と周辺地域でカーボンニュートラルに取り組む方向性が示されている。

　熊谷知事は「成田空港内外で一体となった取り組みを進め、国際競争力の強化や地域の活性化を目指していきたい」と述べるとともに、国に対して働きかけていく考えを示した。