台風被害の復旧完了 9河川で河道掘削を推進へ(県二級水系協議会)
[2024/6/8 茨城版]
県二級水系流域治水協議会は5月29日、県高萩工事事務所で本年度の会合を開催した。会合には県や日立市、高萩市、北茨城市、東海村の関係者らが出席。昨年の台風13号被害に伴う復旧状況や維持管理の実施状況、流域治水に関わる取り組み内容などを確認した。災害復旧については、被害を受けた75カ所すべての対策が完了したことを報告。また、本年度に実施する緊急対策についても説明があった。このうち、県では、20億5000万円を投じて、里根川や大沼川などの9河川の河道掘削、3河川での調節池整備、3河川への河川監視カメラ設置などを進めていく。
冒頭、あいさつに立った県河川課の矢内勝浩課長は、本県の二級水系流域治水プロジェクトの進捗や昨年の台風13号の被害への対応などを説明したうえで、「これから本格的な出水期を迎えるにあたり、本協議会を開催することで、緊急対策の取り組み状況や復旧状況について情報を共有したい。それが防災意識の向上に繋がることを期待する」と述べ、関係各位に協力を求めた。
会合では昨年の台風13号の復旧状況について、河川では県・市の被災箇所75カ所のうち、すべての箇所で対策が完了したことを報告。内訳は、本復旧が62カ所、応急復旧13カ所となる。このうち、応急復旧箇所については渇水期となる11月末から本復旧に着手する方向性を示した。また、出水期を迎えるにあたり、事前のパトロールを実施するなど、体制を強化していくとした。
台風13号以降、管理上支障となる堆積土砂などの撤去状況は、「早急に対策が必要な箇所」として確認された34カ所については、5月末時点ですべて完了。また、経過観察箇所については120カ所となっているが、県と市で情報共有や、緊急時の連絡体制の確認を行い、警戒準備を整えた状況にあるという。
緊急対策の対応状況について、県では本年度に河道掘削や河川監視カメラの設置などに20億5000万円を投じる。このうち、河道掘削の対象は、▽里根川▽関山川▽江戸上川▽塩田川▽関根川▽東連津川▽宮田川▽鮎川▽大沼川──の9河川。現在は対応が必要となる箇所の測量と設計を進めており、設計がまとまり次第、渇水期から工事を実施していく。
河川監視カメラについては、里根川と東連津川、鮎川にそれぞれ1基のカメラを設置し、6月から稼働を開始した。今回の設置により、台風13号による越水があった河川はすべて、監視体制が整うことになった。
このほか、県では新たに調節池の整備を計画している。対象は、里根川と関山川、関根川の3河川となる。現在は整備に向けた必要調節容量の算出など、治水検討を実施。また、整備にあたっては、河川整備計画の変更が必要となるため、内容について国と協議を進めている。
市町村の取り組みをみると、日立市では落見川の浚渫や雨水貯留・浸水対策の協議、田んぼダムの周知などを行う。高萩市では、玉川の改修事業計画書の作成や下手綱川の浚渫を実施。北茨城市は、内水被害の低減が見込める施設の検討や、ため池の管理状況の調査・確認、田んぼダムの試験導入に向けた調査・検討などを予定している。
矢内課長は「復旧状況について、関係者らで情報を共有することができた。今後は被害が発生しないよう、流す対策だけでなく、貯める対策についても関係者の協力のもと、進めていきたい」と意気込みを語った。