半導体工場進出へ協力要請(知事、整備局長と懇談)

[2024/6/5 宮城版]

宮城県庁で懇談する村井知事(左手前)と山本局長(右手前)

宮城県庁で懇談する村井知事(左手前)と山本局長(右手前)

 宮城県の村井嘉浩知事と国土交通省東北地方整備局の山本巧局長が6月4日、宮城県庁で懇談した。巨大半導体企業が宮城県大衡村に進出することを見据え、村井知事は工場周辺のインフラ整備について、国の支援を要請。氾濫を繰り返す多田川などの中小河川を「特定都市河川」に指定することについて、国も協力していくことで一致した。

 懇談会には宮城県側から、千葉衛土木部長が同席。国交省側では、東北地方整備局の安部賢副局長ら幹部をはじめ、仙台河川国道事務所など出先機関の所長が同席した。

 はじめに山本局長が、2024年度の事業費の確保状況や直轄事業の見通しなどを村井知事に説明した。宮城県内で推進している直轄事業には、前年度と同等の約235億0600万円を確保していることを伝えた。このうち、道路整備費が前年度より微増していると説明し、大衡村内で拡幅している国道4号の改良工事が佳境を迎えると述べた。

 2019年に起きた東日本台風の災害では、氾濫した阿武隈川本流の河道掘削が本年度中に完了すると説明。また、大郷町内で堤防が決壊した吉田川の復旧も、本年度中に完了する見通しを示した。

 一方、宮城県側は▽半導体工場の進出に伴うインフラ整備への支援▽国土強靭化の加速化とインフラ長寿命化に向けた財源の確保▽流域治水のさらなる推進──の3項目を要望した。

 昨秋、台湾の半導体企業らで設立した「JSMC」が仙台第二北部中核工業団地(大衡村)に工場を建設すると発表してから、政財界では大きな経済効果への期待が高まっている。JSMCは2029年度にも工場をフル稼働させる意向を示しており、宮城県も工場周辺のインフラを整備して同社の事業を支援していく考え。

 これには国交省の協力も不可欠で、物流の促進に向けて国道4号の拡幅事業を早期に完了させることを村井知事が要望した。さらに、工業用水の安定供給に向けて鳴瀬川ダムを整備していくことや、周辺の自治体が関連するインフラを整備する場合、財政的な支援を受けられるように要望した。

 宮城県内では昨夏に、吉田川流域と高城川流域の中小河川が特定都市河川に指定された。3月には尾袋川流域の中小河川と小田川が同じく指定された。しかし、氾濫を繰り返す流域はほかにもあり、宮城県は2022年7月豪雨災害で堤防が決壊した名蓋川、渋井川を含む多田川流域の中小河川についても、特定都市河川への指定を目指している。村井知事は流域治水対策の推進に向けて、予算の重点配分を国側に要望した。

 山本局長も多田川流域の上流で鳴瀬川ダムの整備が推進されていることを挙げながら、宮城県と歩調を合わせて流域治水対策に取り組んでいく考えを示した。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.