処理場2カ所で耐水化 下水道事業 下水汚泥の肥料化検討(栃木県上下水道課)
[2024/6/5 栃木版]
県上下水道課は下水道事業で、本年度の事業費に18億9662万円を予算化した。内訳は、社会資本整備総合交付金の通常分が10億8612万円、防災・安全分が8億1050万円となる。社会資本整備総合交付金の通常分では、県央浄化センターで1系列の増設工事を継続し、本年度から機械・電気設備工事に着手する。防災・安全分では、管路施設の耐震化工事や処理場設備の更新を実施し、巴波川浄化センターでは耐水化の設計、北那須浄化センターでは耐水化工事を予定。また、大岩藤浄化センターでは放流ポンプ棟と汚泥処理棟の耐震診断を実施し、資源化工場では下水汚泥の肥料化に向けた検討に着手する。
鬼怒川上流流域下水道の県央浄化センターは、宇都宮市と下野市、上三川町の下水を処理するため1986年度に供用した施設で、2026年度には流入水量が現在の処理能力を上回る見込みのため、水処理施設を増設する。今回増設するのは6系列目で、これにより処理能力は1日6万4500立方mから7万7400立方mに増強される。事業期間は20年度から25年度までの6カ年で、全体事業費には約29億円を見込んでいる。
基本・実施設計は20-22年度に日本下水道事業団で実施しており、引き続き22年度末には同事業団に最初沈殿池工、反応タンク工、最終沈殿池の増設に係る土木・建築工事を委託している。本年度からは機械・電気設備工事の協定を同事業団と締結して、2カ年で整備する見通し。あわせて、利根川流域と那珂川流域の流域別下水道整備総合計画を策定する。
防災・安全分では、引き続き下水道ストックマネジメント計画に基づく老朽化対策を推進する。このうち管路施設の耐震化は、管路とマンホール接続部の可とう化を鬼怒川上流の上流処理区で8カ所、中央処理区で26カ所、巴波川で19カ所、渡良瀬川下流の思川処理区で27カ所計画。このほか鬼怒川上流の上流処理区ではマンホール鉄蓋を12カ所更新し、渡良瀬川下流の大岩藤処理区ではマンホール11カ所を耐震化する。
流域下水道の幹線管渠にはマンホールと管渠の接続部が約3900カ所あり、このうち耐震性能を有していないのが1978カ所ある。県はこの中から、緊急輸送道路や避難路などに埋設されている431カ所を優先して耐震化を進めている。
処理場は、巴波川浄化センターで新たに監視制御設備の更新工事と最初沈殿池への流入ゲート設備の更新の設計に着手するほか、管理棟などの耐水化の設計を策定する。北那須浄化センターは、監視制御設備の更新工事を完了させるほか、塩素混和池の耐水化工事にも着手して、防水扉や防止板の設置、躯体嵩上げなどを実施する。
大岩藤浄化センターでは、本年度に放流ポンプ棟と汚泥処理棟の耐震診断を実施し、診断結果に応じて設計や工事を予定する。汚泥処理棟はRC造地下1階地上3階建て、延べ1807平方mの規模となっている。
資源化工場では、下水汚泥の肥料化に向けた検討に着手し、標準手順書を参考に業務を委託する。下水汚泥の堆肥化は温室効果ガス削減の有効な施策の1つであるほか、肥料の安定的な供給や資源循環型社会の構築にも資するが、一方で事業化には安全性や品質の確保、肥料の需要、流通経路などの課題もある。このため、昨年度から庁内での意見交換などを進めており、本年度からは建設・維持管理費用や堆肥化の手法、農業者・消費者のニーズなどについて調査を行う。
24年度の流域下水道実施計画の概要は次の通り。(▼は新規)
【鬼怒川上流(上流処理区)】
〈管渠〉
▽管路施設耐震化工事(24年度)▽マンホール鉄蓋更新工事(24年度)
〈処理場〉
▽汚泥脱水設備更新工事〔汚泥脱水機〕(23-25年度)▽汚泥脱水設備更新工事〔監視制御設備〕(23-25年度)
【鬼怒川上流(中央処理区)】
〈管渠〉
▽管路施設耐震化工事(24年度)
〈処理場〉
▽水処理施設増設工事〔土木・建築〕(22-24年度)▼水処理施設増設工事〔機械・電気〕(24-25年度)▼流域別下水道整備総合計画策定(24年度)
【巴波川流域下水道(巴波川処理区)】
〈管渠〉
▽管路施設耐震化工事(24年度)
〈処理場〉
▼ゲート設備更新設計(24年度)▽処理場施設耐水化設計(24年度)▼監視制御設備更新工事(24-25年度)
【北那須流域下水道(北那須処理区)】
〈処理場〉
▼処理場施設耐水化工事(24年度)▽監視制御設備更新工事(23-24年度)
【渡良瀬川下流流域下水道(大岩藤処理区)】
〈管渠〉
▽管路施設耐震化工事(24年度)
〈処理場〉
▼放流ポンプ棟耐震診断(24年度)▼汚泥処理棟耐震診断(24年度)
【渡良瀬川下流流域下水道(思川処理区)】
〈管渠〉
▽管路施設耐震化工事(24年度)
【下水道資源化工場】
〈処理場〉
▽下水汚泥肥料化検討(24年度)