校舎の設計を再公募 日立特支 全体事業費に約38億円(日立市)
[2024/6/4 茨城版]
日立市は5月27日、日立特別支援学校校舎等改築事業の基本・実施設計プロポーザルで、再公募を開始した。参加表明書の提出は14日まで、候補者の決定は9月上旬ごろとなる見通しだ。昨年11月から進めていた公募で、参加者が少数となっていたことから再公募としたもので、参加資格などについて条件の緩和を行った。再公募に伴い、スケジュールも1年遅れる予定で、10月までに契約を結んだあと、25年度中に設計をまとめ、26年度から着工する。既存施設の解体工事や外構工事を除いた全体事業費は約38億円を想定する。
プロポーザルへの参加形態は単体又は2者の設計共同体で、参加資格は建築士法の規定に基づく一級建築士事務所の登録を受けた者などとなる。
再公募では、設計業務の実績などを変更。前回は「13年4月以降に延床面積3000平方m以上の特別支援学校校舎、または延床面積5000平方m以上の小学校・中学校校舎の新築又は改築の設計業務の実績」としていたものを、実績の期間を「09年4月以降」と延長したほか、小中学校の規模も「3000平方m以上」と緩和した上で、高等学校も含むものとしている。このほか、前回は基本計画を忠実に沿った提案を求めていたが、特別支援学校という枠組みの中で、ある程度の自由度がある提案を可能にしたという。
プロポーザルの審査は2次方式で行われ、2次審査とヒアリングは8月下旬を予定している。契約は10月ごろまでに結ぶ意向で、本年度の当初予算には、25年度までの債務負担行為を含めて総額2億9230万円の設計委託料を確保している。
着工は1年遅れの26年度からとなり、既存施設の解体工事を行いながら改築工事を進めていくため、工程などもプロポーザルでの提案を受ける。施設は完成したものから順次供用を開始する見通しで、28年度末までに校舎や体育館などの主要施設の工事を終え、29年度に外構工事を実施して事業を完了する運びだ。
同校は、日立養護学校高等部として1968年に開校した。その後、72年に体育館、75年に新校舎が完成。79年と85年に増築工事が行われ、現在の総延べ面積は4310平方mとなっている。耐震化工事は既に完了し、2011年と13年には外壁改修工事が行われた。
既存施設は、完成後約50年が経過するなど内部の老朽化が進み、設備や内装の劣化、給排水管の劣化なども見られるという。教室不足も顕著で、特別教室を転用している状況であるほか、図書室や遊戯室など特別活動を行う教室も不足している。一部の校舎ではバリアフリー化が十分でない箇所があるなど、環境整備への対応が迫られていたことから、22年度に教育環境研究所(東京都千代田区)に委託して基本計画を策定した。基本計画では、今後の施設のあり方を明確にした上で、児童生徒のより良い学習環境を整えるため、建て替えの方向性を定めた。
基本計画では、整備方針として柔軟性の確保や発達段階に応じた教室や設備の整備、ICTの活用、安全性への配慮、学びと生活の場を整えることなどを掲げている。計画では、新耐震基準に適合する西側校舎(85年建築、RC造2階建て延べ566平方m)は改修して使用し、このほかの施設は校舎や体育館などを改築する。校庭は多賀中学校の共用を踏まえて現在地とし、将来BRT路線となる東側道路は敷地の一部が道路となる可能性を考慮するとされた。
整備規模は、全校で200人程度の児童が通える施設環境を整える。これに基づく計画面積案は、全体で約9250平方m(校舎棟約8100平方m、体育館約800平方m、プール約150平方m、放課後児童クラブなどの複合施設約150平方m、倉庫等約50平方m)を想定している。23年度は、エイプラス・デザイン(水戸市)により校舎棟の耐力度調査を行った。
プロポーザルの問い合わせは、市教育委員会学校施設課(電話・直通050-5528-5122)まで。