各部局で防災訓練 出水期の災害対応に万全を(県災害対策本部)
[2024/6/1 茨城版]
県災害対策本部事務局は5月27日、県庁で風水害対応訓練を実施した。台風接近に伴って活性化した前線の影響により、線状降水帯が発生して局地的な大雨をもたらしていることを想定。初動体制の確立や災害対策本部の適切な運営などについて、ブラインド方式で訓練を行った。今回は昨年に引き続き、災害対策本部事務局に加え、保健医療部と福祉部、土木部、企業局らも訓練に参加。このうち、土木部ではブラインド方式の実動訓練、企業局では停電対応や応援給水などの実動訓練に取り組んだ。これから出水期を迎えるにあたり、今後は訓練を活かして万全の対応をとる考えだ。
防災訓練は例年、本格的な台風シーズンを迎える前の7月から8月ごろに実施していた。しかし、本年度は昨年6月や9月の大雨を踏まえ、出水期前の5月に訓練を前倒して実施することになった。訓練では、風水害が発生したという共通の設定のもと、それぞれが訓練を実施。このうち、災害対策本部事務局では、災害対処能力の向上を目的に、図上訓練を行った。
図上訓練には、対策本部事務局員や自衛隊、県警察本部、いばらき消防指令センターなど約120人が参加。台風の接近に伴って活発化した前線の影響により、線状降水帯が発生して局地的な大雨をもたらした。各河川とも上流域では避難判断水位に到達し、今後も急激に水位が上昇することが予想され、氾濫の危険が高まっているというシナリオとなる。
訓練では、実際の災害発生時に近づけるため、参加者にシナリオを提示しないブラインド方式を採用し、実践的な訓練となった。
土木部と企業局では、被災箇所の情報提供や報告を行う実動訓練を実施した。このうち、土木部では、豪雨によって、県内全域で被害が発生したことを想定。なお、今回は昨年に引き続きブラインド方式を採用した。地域住民からの通報を受けて、職員が被災箇所に向かうというシナリオを採用し、より実践的な訓練となった。
内容としては、職員の安否確認や被災状況などの情報収集、災害対応指示など、災害対策室を設置し、災害時の役割確認を実施。また、出先機関に配備済のドローンを職員が操作し、現地から災害対策室へリアルタイムで映像の共有を行った。
さらに、各業界団体と連携した訓練も実施。県建設業協会には県内各地でパトロールの依頼を行うほか、災害協定を締結しているこのほかの業界団体とは情報伝達の確認を行った。
企業局では風水害により、水海道浄水場や関城浄水場、那珂川浄水場での停電や、涸沼浄水場で油が流出したことなどを想定。実動訓練では、自家発電機の起動や給水タンクへの給水、取水口の状況確認・ゴミ除去などを行った。また、局長室に設置した災害対策本部では、ウェブ会議で現地と繋ぎ、連絡を取り合った。
田村央土木部長は「今回の訓練も被災箇所をブラインドにし、実際の災害と同様の状況で行い、災害時の初期対応に重点を置いた訓練を行うことができた。間もなく出水期を迎えるにあたり、風水害への対応に加え、地震への対応についても、引き続き万全の体制を整えていきたい」と語った。
稲見真二企業局長は「訓練を例年よりも早期に実施することで、職員の意識啓発や災害時の体制づくりを早期に行うことができ、有意義なものになった。また、実動訓練の実施により、今まで以上に迅速かつ安全な体制が整いつつあると実感している。安全・安心な水の安定供給は我々の使命であり、関係機関との連携強化や職員の意識向上、災害訓練の課題への対応などに取り組み、災害に対して万全を期していきたい」とコメントした。