来年度にも事業者選定 し尿施設整備計画案 処理量40㎘/日以上で計画(南那須広域組合)
[2024/5/29 栃木版]
南那須広域行政事務組合は、し尿処理施設整備基本計画案をまとめた。それによると、現在の候補地で整備する場合には2025年度に測量調査・地質調査・地歴調査、25・26年度に生活環境影響調査を実施し、26年度に整備に向けた都市計画決定の手続きを進める。また25・26年度に基本設計や事業者選定を行い、27~29年度に建設工事を実施して30年度から新施設を供用開始する。新施設は生物学的脱窒素処理方式による処理方式とし、たい肥として資源化する。計画処理量は、1日あたり40㎘を上回ると想定している。
現在のし尿処理施設は保健衛生センター(大桶444)内に1985年に建設され、2015年に基幹改良整備工事を行っている。標準脱窒素処理方式を採用し、処理能力は1日あたりし尿が26㎘、浄化槽汚泥が44㎘となっている。
し尿処理施設は稼働開始から38年が経過し、設備の老朽化や設備・配管の経年劣化が懸念されている。1日あたりの搬入量も施設規模の半分程度となり、浄化槽汚泥の搬入率も増えている。搬入物の質や量が稼働開始時期から大きく変動しており、組合は新施設の更新を検討すべきとした。
そこで組合は、新しいごみ処理施設とし尿処理施設を併設し、志鳥地区への整備を計画している。建設候補地について、再選定が必要になる場合は24年度に新たに候補地を選定し、25年度に用地取得や合意形成を行う。新候補地となる場合には、供用開始時期を32年度と想定。新候補地選定の場合の整備スケジュールは、27・28年度に基本設計や事業者選定を行い、29~31年度に建設工事を行う。
新し尿処理施設は、し尿や浄化槽汚泥のほか、集落排水施設の汚泥も合わせて収集処理し、資源化を図る。計画処理量は、し尿が1日あたり4㎘、浄化槽汚泥が36㎘(うち集排汚泥2㎘)を上回ることを想定した。
し尿処理方式や資源化方式は、比較検討した結果、し尿処理は下水道放流で生物学的脱窒素処理方式、資源化はたい肥化方式を選定している。生物学的脱窒素処理方式では、高負荷脱窒素処理方式または膜分離高負荷脱窒素処理方式のどちらかを採用する。
受入計量設備について、計量装置は7.2㎘車が余裕を持って計量できるひょう量と積載台寸法を確保する。受入室には受入後室を設けずに受入前室のみを設け、前室を計量室として兼用する。受入口は、設置基数を2基とした。
受入貯留設備は、2系列で計画する。貯留槽の容量は5日分を確保するとし、し尿が20立方m、浄化槽汚泥が180立方mとする。班有されたし尿と浄化槽汚泥を別系統で受け入れて沈砂し、受入槽に流入させ、破砕装置で破砕した後、きょう雑除去装置で徐渣して貯留槽に流入させる設備を基本とする。
汚泥脱水機は、必要時期にプラントメーカーに検討・提案させた上で、総合的に優れている機種を決めるのが望ましいとした。
たい肥化設備は、需要や地域住民への配布等を勘案して、3カ月分のたい肥を補完できる保管庫を設置し、配布可能なスペースやパレットラックなどを整備する。
脱臭設備は、高・中濃度臭気は生物脱臭から薬液洗浄を経て、活性炭吸着処理で脱臭し、低濃度臭気は活性炭吸着処理のみで処理する。
ポンプ類は、床排水ポンプを除きすべて槽外型とする。ブロワは低騒音型ルーツブロワを標準とし、ロータは原則として三葉式以上の仕様とする。配管は可能な限り集合させ、作業性や美観に配慮する。
施設は、処理棟・管理棟一体型とする。構造は、RC造を基本とし、処理棟水槽部内面はエポキシ樹脂等による防食ライニング施工とする。
処理部は地下1階にポンプ室・ブロワ室・倉庫など、1階に受入室・受入前室・水槽上部室・ホッパ室・沈砂除去室・倉庫・工具工作室・薬品ヤード・薬品庫など、2階に前処理脱水機室・脱臭室・脱臭ファン室・ホッパ上部室・薬品庫・倉庫・電気室・冷却塔置場などを設ける。
管理部は1階に玄関・トイレ・収集車運転手用トイレなどのほか、必要に応じて玄関ホール・ロビー・受入監視室を設ける。2階には、組合居室・事務室・トイレ・浴室またはシャワー室・更衣室・給湯室・洗濯室・中央監視室・水質試験室・前処理脱水監視室などのほか、必要に応じて会議室・作業員控室を設ける。
付帯設備は、浄化槽水張用用水設備を整備し、車庫、駐車場、緑地などを配置する。プロセス用水は井水または水道水を利用し、雨水排水は場内に側溝を整備して河川等に放流する。
事業方式は比較検討の結果、DBO方式がもっとも望ましい方式となり、次点で公設+長期包括委託方式を選定している。