河川事業に22億円 那珂川・久慈川の緊プロを推進(常陸河川国道)

[2024/5/23 茨城版]
 国土交通省常陸河川国道事務所(佐近裕之所長)は、24年度の河川事業概要をまとめた。河川関係の事業費は総額22億6300万円となり、23年度の補正予算で確保した102億2100万円の事業費と合わせて、久慈川や那珂川の緊急治水対策プロジェクトや、4月に策定した流域治水プロジェクト2・0に基づき、各種事業を実施する。主な工事では、築堤工事や河道掘削、那珂川の大場遊水池整備などを進める。

 事業費の内訳は、一般河川改修事業費で久慈川に4億0800万円(23年度補正1700万円)と那珂川に5億7700万円(同3300万円)、河川等災害関連事業費で那珂川に12億6800万円(同98億0600万円、久慈川同3億6500万円)、総合水系環境整備事業で那珂川に1000万円を予算化した。主な事業では、「令和元年東日本台風」により久慈川水系と那珂川水系で受けた甚大な被害に対応するため、両河川の緊急治水対策プロジェクトなどを進める。久慈川では、辰ノ口築堤を進めるほか、那珂川では栄町、勝田、吉沼、野口、下伊勢畑、下境の各築堤工事、大場遊水地、河道掘削などを推進。国や県、市町村が連携し、多重防御治水の推進、減災に向けた更なる取り組みの推進などの治水対策により、社会経済被害の最小を目指す。

 久慈川緊急治水対策河川事務所と共に進めている久慈川緊急治水対策プロジェクトでは、19-26年度の8年間に、総事業費約647億円(国約631億円、県約16億円)を投じる。目的には、▽多重防御治水の推進▽減災に向けた更なる取組の推進──を掲げ、本水からの越水防止を目指して、河道掘削や堤防整備、霞堤整備などを進めるほか、上流部や支川の浅川などの県管理区間では、国が権限代行により河道掘削、堤防整備、橋梁の架け替えなどをを行っている。

 4月末時点の進捗状況は、国管理区間で河道掘削工事(約105万立方m)が41%、堤防整備工事(約14.6km)が26%、用地補償が72%となった。権限代行区間では、河道掘削工事(約108万立方m)が16%、堤防整備工事(約18.2km)が21%、用地補償が79%となった。本年度は、辰ノ口築堤など、引き続き用地取得が完了した箇所から堤防整備や河道掘削などの改良復旧などを進めていく。

 那珂川緊急治水対策プロジェクトでは、19-26年度の8年間で、総事業費約813億円(国約669億円、県約144億円)を投じる。内訳は災害復旧に約219億円、改良復旧に約594億円で、堤防整備や河道掘削、大場遊水地、下境霞堤整備などを進める。

 3月末時点の進捗状況は、堤防工事(約12.8km)が49%、河道掘削工事(約160万立方m)が55%、遊水地工事が21%、霞堤工事が11%となっている。堤防工事では、中流区間(約4.4km)のうち、野口・下伊勢畑地区(常陸大宮市)が34%、下江戸・下圷地区(那珂市・城里町)が完了した。下流区間(約8.4km)では、吉沼地区(水戸市)が19%、大野地区(水戸市)が完了、勝田・栄町地区(ひたちなか市)が25%などとなっている。本年度は、各地区の築堤と河道掘削、大場遊水地などの工事を進め、発注見通しによると左岸の下境地区では第4四半期に樋管新設工事の発注が予定されている。

 また、常陸大宮市と城里町で行う大場遊水地では設計が完了し、工事進捗率は21%。22年度には、遊水池の排水門新設工事(施工は三井住友建設)や排水門ゲート設備工事(施工は日立造船)、小場地区の周囲堤築堤工事(施工は清水建設)に着手し、本年度も引き続き工事を進めていく。

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