三神彰局長就任インタビュー  建設業は欠かせないパートナー 能登地震教訓に災害対策検討(千葉県企業局)

三神企業局長

三神企業局長

[2024/5/23 千葉版]
 県企業局長に就任した三神彰氏が本紙インタビューに応じ、「建設業界は欠かせない存在」と語り、県企業局のパートナーとして連携を強化する考えを示した。また、本年1月に発生した能登半島地震への復旧支援などを教訓に、さらなる災害対策を検討していく方針も明らかにした。

 ──就任の抱負を。

 「30年前に県企業庁に入庁したときは、造成土地管理と工業用水道のみを担っていたが、県水道局と事業統合し、所管業務の幅が広がっており、責任の大きさを実感している」

 「県企業局は現場が第一だと思う。現場で働く職員や事業者の目線を大事にしていきたい。また、風通しの良い職場の環境づくりにも取り組みたい」

 ──重点的に進めたいことは。

 「水を安定的に供給するため、中期経営計画を踏まえた施設整備を着実に進めていかなければならない。上水道も工業用水道も、高度経済成長期に整備した施設が老朽化しているため、計画的に更新や耐震化を進めていく必要がある」

 「具体的には、鋳鉄管の更新工事で耐震性のある継手管を採用する。東日本大震災の被災状況などを踏まえ、液状化が発生した湾岸埋立地域や災害拠点病院などの管路を優先的に整備していく」

 「令和元年房総半島台風で長期停電が発生したことを踏まえ、停電対策に力を入れている。停電時でも浄水処理や送配水を72時間継続できるよう、非常用自家発電設備や燃料タンクの増強に取り組む」

 「電気料金や燃料費など、物価高騰が大きな課題だ。水を安定的に供給するため、財源の確保にも努める必要がある」

 ──ちば野菊の里浄水場(松戸市)の第2期施設について。

 「老朽化した旧栗山浄水場の浄水機能を移転するもので、2016年度から工事を進め、本年3月に通水を開始した。松戸市、市川市、船橋市の一部に給水しており、第1期分も含め、施設能力は日量24万6000m3。非常用自家発電や太陽光発電など設備の整備を進めており、年度内の完了を目指している。旧栗山浄水場については、給水場として、再整備を進めていく」

 ──能登半島地震への対応は。

 「日本水道協会からの要請を受け、断水した被災地への応急給水や応急復旧などの応援活動を展開した。応急復旧では、災害時等における応援派遣に関する協定を締結している千葉県上下水道インフラ整備協会の会員企業とともに志賀町や輪島市で水道管の漏水調査や修繕を実施した」

 「能登半島は半島という面で、本県と地理的に似ている。これらの応援活動で得られた知見を踏まえ、災害対策を強化していきたい」

 ──建設業界に一言。

 「漏水や災害発生時の応急復旧活動など、いつも献身的に対応していただき、大変感謝している。施設及び管路の更新や耐震化を進めていく必要があり、これからも県企業局にとって欠かせないパートナーとして協力してほしい」

 みかみ・あきら
 1968年2月生まれの56歳。八千代市出身。1993年に明治大学大学院法学研究科修了後、県企業庁に入庁し、入札・契約や土地造成予算などに携わる。県庁では総務部や健康福祉部、教育庁、商工労働部などでの勤務を経て、2023年4月から地域づくり担当部長、本年4月から現職。趣味は旅行と美術館巡り。

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