県土木委で県内調査 高度浄水処理施設などを視察

[2024/5/21 茨城版]
 県議会土木企業立地推進委員会(黒部博英委員長)は16日、県南・県西地区で現地調査を実施した。今回は土浦市で日立建機の土浦工場と、霞ヶ浦浄水場の新たな高度浄水処理施設、つくば市でつくばスマートICの工事現場、坂東市で坂東PAのハイウェイ・オアシスの視察を行った。このうち、高度浄水処理施設では、新技術の説明を受けるとともに、工事の進捗を確認した。

 調査ではまず、土浦市神立町で日立建機の土浦工場オレンジ・イノベーション・プラザを視察。この施設は県内外の研究開発拠点を土浦工場に集約したもので、23年5月に供用を開始した。現地では担当者から施設の説明を受けた。

 続いて、県南水道事務所の霞ヶ浦浄水場に移動し、新たな高度浄水処理施設の工事現場を視察。県南水道事務所の担当者から事業概要や工事内容について説明を受けた。

 新しい高度浄水処理技術の名称は「オゾン促進酸化処理」方式。これはかび臭などの臭気原因物質そのものを、オゾンと過酸化水素の強力な酸化分解力で、完全に分解する技術となる。同技術を導入した施設は全国で初となっている。

 県企業局では、かび臭気の完全除去とランニングコスト削減の課題に対応するため、事業に着手。海外施設などを参考にしつつ、オリジナルの手法を加えて、独自の技術としてオゾン促進酸化処理を確立。その後、実証実験を霞ヶ浦浄水場で14年12月から15年11月にかけて実施してきた。

 実験結果を踏まえ、同局は18年度末に厚生労働省から事業認可を取得。その後、事業化を図ってきた。20年度からは施設の整備に着手。整備を予定するのは、第1期施設であるオゾン接触池と、第2期施設である後砂ろ過池となる。

 今回の視察では、実証実験プラントとオゾン接触池の工事現場を視察。高度浄水施設の仕組について説明を受けるとともに、担当者から工事の進捗について説明を受けた。それによると、オゾン接触池については本年度中にも供用を開始する見通しだという。

 続いて、つくば市島名のつくばスマートICの工事現場に移動し、担当者から説明を受けた。このスマートICの連結位置は、圏央道の常総IC-つくば中央IC間となる。接続形態は本線直結型とし、運用時間は24時間、対象車種はETC車載機を搭載した全車種となる。

 整備効果としては、▽地域ポテンシャルの向上による地域の活性化▽企業活動の貢献、新規企業進出による地域経済の活性化▽高速道路の利便性向上▽広域的な観光振興への寄与▽災害時における信頼性の高いネットワークの形成──などが期待できるという。

 最後に坂東市弓田地内にある圏央道坂東PAに移動し、ハイウェイ・オアシスの説明を受けた。この事業は、東日本高速道路関東支社が整備を進める圏央道の坂東PAと、坂東市が担当する都市公園(地域利便施設〔仮称〕桜の里山公園)を一体的に整備するもの。同施設は、高速道路と一般道路の両側から利用可能で、訪れた人に快適な休憩施設と緑あふれる自然環境、桜の里山を活かした憩いの場を提供する。

 台地で安全な地形を活かした広域的な防災拠点となる公園整備を行うほか、公園利用者の利便性の増進を図るため坂東PAと一体的に整備することで、市内外に観光資源や特産品・名産品、地域イベント情報など市の魅力を発信する観光拠点として整備する。あわせて、公園利用者が快適に利用できる休憩施設や、農商業の振興に向けた新たな賑わいを創出させる地域連携拠点としての機能も盛り込んでいる。

 今回の調査のうち、新たな高度浄水処理施設の整備について黒部委員長は、霞ヶ浦の水質の問題に触れたうえで、「新しい施設が完成して、県民の皆さまが安心して水を飲めるようになることを期待する。水道は安全・安心の要だと考えており、議会としても豊かな茨城県になるよう努めていきたい」とコメントしている。

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