充電設備整備を支援 盛土規制区域案6月に公表(栃木県市町村長会議)
[2024/5/15 栃木版]
福田富一知事や県内各市町長らによる市町村長会議が13日に県公館で開催され、県市長会と県町村長会から提出された要望や、県が提出した事項などを協議した。県は、企業立地に向けた地域未来投資促進法で国へ制度の延長を働きかけるほか、設備の空白地域や道の駅には急速充電器の整備を支援していく。盛土等安全対策については、規制区域案を6月ごろに公表する考え。データ連携基盤や次期防災システムは、24年度に構築に向けた調査に着手する。
市長会および町村会が提出した協議事項では、地域未来投資促進法に基づく民間開発に係る補助制度の拡充および対象期間の延長や、脱炭素化促進のための県補助制度の拡充を盛り込んだ。
企業立地に向けた地域未来投資促進法では、設備投資で法人税の特別償却や税額控除が受けられる国の制度が24年度末まで、県の企業立地・集積促進補助金制度が25年度末までとなっており、事業者の用地取得や造成工事などハード面の経費を補助する補助金の新設や、現行の国や県の制度の期間の延長を要望した。
県は国に制度の延長を国に働きかけるほか、県の企業立地・集積促進補助金制度については、一定の要件を満たす場合に地域未来投資促進法に基づく重点促進区域で市町が行うインフラ整備でも国の社会資本整備総合交付金が適用可能となることから、同制度の活用を促した。
脱炭素化促進に関しては、住宅用太陽光発電設備の県の補助制度がFITまたはFIPの認定を受けないことや、蓄電池を一体的に導入する場合のみ補助対象とするなど市町で実施しているものより要件が厳しくなっていることから、市町は要件緩和や、充電インフラ整備にも補助制度を拡充することを要望した。
県は、今後も蓄電池との一体的な導入などを要件に補助制度を続けるとしたが、充電インフラ整備はEV・PHV充電インフラビジョンに基づいて、設備の空白地域や道の駅を重点整備箇所に位置付けて、急速充電器の整備支援を行っていく。
県からの協議事項では、本県における盛土等安全対策を挙げた。危険な盛土などを全国一律の基準で規制する盛土規制法が昨年5月から施行され、25年5月までに規制区域を指定し、盛土規制法を運用することとしている。県は県全域を規制区域の候補に抽出し、規制区域案を6月ごろに公表し、25年4月1日の規制区域指定を目指す。
あわせて県土砂条例は見直し、災害発生防止は盛土規制法で対処する。盛土規制法対象外の土壌汚染防止は、条例で継続して規制する。不法盛土などへの抑止力として、市町への盛土規制法申請窓口設置、開発許可権者による盛土規制法みなし許可関連事務の実施を検討する。
県からの報告事項は▽データ連携基盤の構築▽次期防災情報システムの整備▽県立夜間中学の設置に向けた取り組み▽道路交通環境の整備-などを提示した。
データ連携基盤は25年度に構築・運用開始するほか、県と各市町の共同利用に向けて24年度は構築に係る調査を行い、データ連携基盤共同利用ビジョンを策定する。
次期防災システムは、国の総合防災情報システムの情報、県が構築するデータ連携基盤の活用で市町・県・防災関係機関の災害情報等のデータを自動で収集・集約して情報を電子地図上で見える化し、県民への情報提供を行えるように整備する。24年度は調査・設計に着手して25年度までの2カ年で実施し、26・27年度にシステムを構築・導入して28年度からの運用開始を目指す。
県立夜間中学は設置を進めるため、基本計画策定等に向けた有識者による意見交換会や学びのニーズの調査を、24年度に実施する。
道路交通環境は、最高速度30km毎時の区域規制の「ゾーン30」、防護柵設置、ハンプや狭さく等の物理デバイス設置のほか、ゾーン30と物理デバイスの組み合わせによる交通安全向上を図る区域を県が「ゾーン30プラス」として設定して整備を進めており、ラウンドアバウトの交差点も設置している。あわせて市町に、道路交通環境の整備で理解と協力(地域の合意形成など)を促している。