岸壁延伸に160億円 常陸那珂港区の中央ふ頭地区(鹿島港湾・空港事務所)
[2024/5/14 茨城版]
国土交通省鹿島港湾・空港整備事務所では、本年度から茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業に着手する。この事業は、常陸那珂港区で建設機械の輸出量が増加傾向にあることを受けて、中央ふ頭E岸壁にRORO船の着岸が可能となるよう、岸壁を30m延伸するものとなる。総事業費は160億円と試算。本年度は調査・設計委託料に1億円を確保した。今後は30年度までに事業を完了する見通しだ。
常陸那珂港区には建設機械の組立工場が立地しているが、近年の鉱山利用の需要の高まりを受け、東南アジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど、世界各方面への輸出量が年々増加傾向にある。その結果、22年度には建設機械の輸出量が125万tとなり、過去最高を記録。これに伴い、RORO船の入港への待ち時間が長くなっており、22年のピーク時には延べ324時間にも及んだという。また、輸出には大型の船舶が使用されており、荷捌き場の整備が求められている。
こうした状況に対応するため、県では公共ふ頭計画や水域施設計画、土地利用計画の変更に着手。その際には、整備方針として3つの案を提案し、妥当性があるかどうか検討を行った。その結果、建設機械をRORO船で運ぶためのターミナルを中央ふ頭に新たに整備する案を採用した。
その後、港湾計画の一部変更について県地方港湾審議会や、国交省の第90回港湾分科会で審議し、計画の変更を適当だと判断。これを踏まえてこのほど、新たな国際物流ターミナル(水深14m)の整備に着手することになった。総事業費は160億円と試算。このうち、港湾整備事業費には105億円を投じる。事業期間は30年度までを予定している。
主な変更内容をみると、公共ふ頭計画では、C-E岸壁の水深15m(延長300m、貨物船用)を水深14m(延長330m、RORO船用)に変更する。これにより265mの船まで着岸することが可能となる。あわせて、国際的に重要な貨物を扱うため、大規模地震対策の整備も計画しているという。水域施設計画では、航路・泊地の水深15m、泊地の水深15mをそれぞれ水深14mに変更する。
このほか、臨港道路3号線の配置を見直し、港湾関連用地と工業用地の土地利用計画を変更する。具体的には、土地利用の変更として、ふ頭用地を9haから10.3ha、工業用地を6.2haから0ha、港湾関連用地を62.7haから68.2ha、交通機能用地(3号線区間A)を7.9haから7.8ha、同(2号線)を11.8haから11.3haへの変更を行う。