大ホールは現状以下に 新市民会館検討報告 複合化や民間施設導入も(小山市)

[2024/5/9 栃木版]

 小山市は、新たな市民会館のあり方を検討し、報告書をまとめた。それによると、大ホールは現状と同等またはそれ以下の規模のものとし、ハンドベル練習室、学習室、防災備蓄倉庫などを設置するほか、他施設との集約・複合化、民間施設の併設も検討していく。本年度は整備候補地の選定を進める予定で、基本構想・基本計画の策定などの時期は未定となっている。2024年度当初予算では、整備候補地選定および交渉支援業務に1000万円を計上したほか、事業に順調に進んだ時に備え、債務負担行為でも基本構想・基本計画の策定業務の委託料に24・25年度で1450万円を設定している。

 小山市中央市民会館は1978年に建築された施設で、市役所本庁舎に隣接し、文化センター、中央公民館、中央図書館小山分館で構成する。近年は耐震性能の不足や老朽化、設備の機能不足、使い勝手の不便さなど様々な問題が指摘され、22年度には整備検討懇話会や市議会から建て替えや新築整備についての提言書の提出を受けている。

 市は提言の内容を踏まえ、新たな市民会館のあり方検討事業に関して、既往調査で把握した情報の更新、市民意向調査を行うなど基礎的なデータを収集して整理するとともに、新たな市民会館整備に向けた基本構想・基本計画等策定への展開を見据え、新市民会館に求められる機能や規模、事業手法の検討や、課題の整理などを実施した。

 利用状況調査や利用者意向を整理した結果、課題や要望に▽大ホールの適正数の検討▽稼働の低い諸室の残存可否の検討▽プロの公演に対応した大ホール▽駐車場の確保▽アクセスしやすい立地▽バリアフリー▽防音の練習室▽フリースペース▽商業施設との複合化▽Wi-Fi等の通信環境-などが挙げられた。

 意見聴取から、大ホールについては新市民会館に大規模ホールは適さず、市民の発表に適正な規模を考慮し、現状と同等か、それ以下の客席数とする方向で検討する。小ホールは、小さい規模の発表などに利用できるものとし、客席は多目的に使用できる平土間可動席が望ましいとした。

 中央公民館機能は、基本的に同じ機能を引き継ぐが、小規模な会議室、防音の練習室、スタジオなどを設けることを検討する。図書館小山分館機能は、面積を現状より拡張し、ニーズの高い学習室を拡大する。中央図書館との役割分担を踏まえ、JR小山駅周辺に設置されるメリットを生かしたあり方も検討していく。

 ロビーは、現状は狭あいなことから、立地環境や来館者の増加を図るため、共用部を広く設けるようにする。ハンドベル活動促進の機能、DIY・工芸・3Dプリント等のものづくりに対応する機能、市民参加促進のためのサポーター室などの追加や、防災備蓄倉庫の整備も検討する。

 一方で、市内の他施設との集約・複合化の可能性、カフェや物販施設等の民間施設の併設も検討していく。

 文化センター機能は大ボール・小ホール・楽屋等・ギャラリー、中央公民館機能は会議室・調理室・和室・工芸室・ハンドベル練習室および楽器庫・練習室およびスタジオ・サポーター室、図書館分館機能は一般書架・児童書架・カウンター等・学習室、共用部等はカフェ等・ロビー・防災備蓄倉庫と想定した。

 整備手法は従来手法のほか、DB方式、DBM方式、DBO方式、PFI方式、ECI方式などから適切な手法を選択する。

 基本構想・基本計画の策定にあたっては▽大・小ホールの席数や舞台サイズ等の明確化▽図書館分館の性格づけ▽市民参加の推進に向けた検討▽建設予定地の決定(付帯機能、集約・複合機能も含む)-に留意する。

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