巴波川に約50億円 事業概要 小薮川の黒岩堰は上部工(栃木県河川課)
[2024/5/8 栃木版]
県河川課は、2024年度当初の国庫補助・交付金事業の概要をまとめた。それによると、本年度も令和元年東日本台風で被災した河川の改良復旧に重点的に取り組み、巴波川の地下トンネル工事や秋山川に架かる大橋の架け替え、田川の調節池掘削などに多くの事業費を配分した。このほか河川改修事業をみると、構造物は本年度、武名瀬川で7号町道橋の橋梁下部工や小薮川で黒岩堰の上部工を施工。また、田川で宮本橋架け替えの設計や荒川で樋管の詳細設計を策定する。
本年度の主な事業のうち、河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)には53億6000万円を計上した。このうち巴波川には49億8000万円を配分して、引き続き地下トンネル工事の年割分の事業費に充当するほか、到達立坑周辺の流入施設の整備を実施する。
この事業は、JR両毛線から荒川合流点まで延長約2.4kmの地下トンネルを整備するもので、事業期間は20年度から27年度まで、全体事業費は約178億円を見込む。発進立坑や地下トンネル工事の工事は奥村・岩田地崎JVが担当し、到達立坑の工事もこのあと発注を予定する。
秋山川には3億8000万円を計上して、引き続き掘削や護岸工事を実施するほか、河川の拡幅に伴う都計道前橋水戸線の大橋の架け替えの街路事業の負担金に充当する。新たな橋梁は、上部工が2径間連続プレビーム合成桁で、下部工は場所打杭逆T式橋台2基と場所杭壁式橋脚1基。これまでに迂回路の設置や片側の下部工を実施しており、本年度は残る下部工や上部工を計画する。
大規模特定河川事業(補助)には、4億2400万円を計上した。宇都宮市の姿川(大谷)は、河川の拡幅に伴う宇都宮市道の観音橋の架け替えで負担金を支出する。武子川はJR日光線武子川橋梁の架け替えに向けて、23年度予算を活用しJRによる準備工に着手するほか、本年度の事業費を施工ヤードの用地借地に充てる。
巴波川は激特区間の下流側の一部で河道掘削を実施し、杣井木川は調節池整備に向けた用地補償を行う。旗川は、JR両毛線より北側の区間で河道掘削や護岸を行うほか、河道の中にある民地の調査や補償、河川改修に伴う市道橋の稲岡橋の架け替えに必要な用地補償を予定する。名草川は袋川合流点から上流に向けて整備を進めており、本年度は拡幅に向けた用地補償を予定する。
防災・安全交付金は、田川で上下流2カ所の調節池の掘削工事を推進するほか、越流提の整備や残る用地の補償を進める。この事業は、上流側の山田川合流部から下流側の川田調節池までの延長6.5km区間で、河道を掘削するとともに調節池を整備して下流の河川水位を低減させる。25年度の事業完了を目指しており、引き続き事業を推進する。
防災・安全交付金ではこのほか、7億6200万円を予算化して安全な川づくり事業を推進する。このうち武名瀬川では、河道拡幅に伴う町道7号橋の下部工(場所打ち杭基礎逆T式橋台)や迂回路設置、橋梁前後の護岸工事などを計画。橋梁架け替えは本年度から着工して、本年度に下部工、25年度に上部工を予定する。
小薮川は、工区の下流側にある固定堰の黒岩堰を、可動堰(ラバー堰)に改修するための上部工を実施する。思川の深程工区は、河道拡幅で引き堤を整備するため、既存堤防の法尻にある市道の付け替えを行う。田川は、河道拡幅で市道橋の宮本橋を架け替えるための設計や、地質調査を予定。宮本橋の橋長は現況が7.7mで、これを約12mまで拡幅する。
思川の惣社国分寺工区は、美田東部頭首工の上流右岸で引き提の築堤を整備する。江川(鳥山)喜連川は、ほ場整備と併せて河道拡幅を進めており、本年度は河川区域内の一部で掘削を実施する。鹿島川は、大田原市の市街地に調節池(上流・下流)を整備しており、本年度は上池の掘削を予定する。
荒川は災害復旧助成事業を本年度で概ね完了させるほか、その上流の藤田橋から青雲橋までの三箇工区にも着手して、本年度は樋管の詳細設計を策定する。姥川は設計を行いながら、設計が完了した箇所で用地補償を行い、下流側から工事を行う準備を進める。旗川は、直轄区間からJR両毛線までの区間で引き提や河道掘削を予定し、本年度は引き提に必要な物件調査を実施する。
本年度の主な事業実施箇所は次の通り。(▽河川名(市町名)=[1]予算額[2]事業内容)
【河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)】
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)=[1]49億8000万円[2]地下トンネル、流入施設
〈安足土木〉
▽秋山川(佐野市)=[1]3億8000万円[2]堀削、護岸、橋梁上下部工(大橋:負担金)
【大規模特定河川事業(補助)】
〈宇都宮土木〉
▽姿川(大谷)(宇都宮市)=[1]6800万円[2]橋梁上部工(観音橋)
〈鹿沼土木〉
▽武子川(鹿沼市)=[1]1000万円[2]用地借地(武子川橋梁)
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)=[1]1000万円[2]掘削
▽杣井木川(小山市)=[1]6600万円[2]用地補償
〈安足土木〉
▽旗川(足利市)=[1]8000万円[2]物件調査、用地補償、掘削、護岸
▽名草川(足利市)=[1]1億9000万円[2]用地補償
【安全な川づくり事業(防災・安全交付金〔重点〕)】
〈宇都宮土木〉
▽田川(宇都宮市)=[1]11億円[2]調節池整備(掘削、越流提)、用地補償、地下水調査)
【安全な川づくり事業(防災・安全交付金)】
〈河川課〉
▽県内=[1]600万円[2]水文観測
〈宇都宮土木〉
▽武名瀬川(上三川町)=[1]1億5000万円[2]橋梁下部工(7号町道橋)、迂回路設置、護岸、用地補償
〈鹿沼土木〉
▽小藪川(楡木)(鹿沼市)=[1]2億3800万円[2]堰上部工(可動堰)、掘削、護岸
▽思川(深程)(鹿沼市)=[1]4500万円[2]付替道路
〈日光土木〉
▽田川(上流)土沢(日光市)=[1]1600万円[2]地質調査、橋梁(宮本橋)設計
〈真岡土木〉
▽百目鬼川(益子町)=[1]6000万円[2]堀削、護岸
〈栃木土木〉
▽思川(惣社国分寺)(栃木市)=[1]3600万円[2]築堤
▽巴波川(大町)(栃木市)=[1]2000万円[2]用地補償
▽永野川(JR)(栃木市)=[1]1000万円[2]用地調査
▽杣井木川(効果促進)(小山市)=[1]1500万円[2]用地補償
〈矢板土木〉
▽江川(鳥山)喜連川(さくら市)=[1]2000万円[2]掘削
〈大田原土木〉
▽鹿島川(大田原市)=[1]2600万円[2]調整池整備(掘削)
〈烏山土木〉
▽荒川(三箇)(那須鳥山市)=[1]1000万円[2]樋管詳細設計
〈安足土木〉
▽矢場川(足利市)=[1]1000万円[2]用地補償
▽姥川(足利市)=[1]9000万円[2]用地補償、河道(護岸)詳細設計、堰詳細設計
▽旗川(足利市)=[1]1000万円[2]物件調査