県植物園整備でプロポ 設計・施工の上限額は30億円(県林政課)
[2024/4/19 茨城版]
県林政課は16日、「県植物園等整備・管理運営事業」に係る公募型プロポーザルの手続きを開始した。この業務では、施設のリニューアルに向けた施設の新築や改修の実施設計と工事監理、工事に加え、維持管理と運営を一括して委託するもの。設計・施工の提案上限価格は税込29億8889万8000円とし、工期は25年3月31日に設定。書類の提出は5月14日まで受け付ける。優先交渉権者は5月中にも決定する見通し。その後、6月議会での承認を得た後に着手し、25年4月のリニューアルオープンを目指す。
この事業は老朽化や利用者減少が進む県植物園と県民の森のリニューアルを行うもの。対応方針としては、施設の現状や利用状況を踏まえ、植物園としての機能を活かしつつ、県内外からの集客を実現できる魅力あふれる施設への一新を図ることを掲げた。その際には、民間のアイデアを活用し、新たなコンセプトを導入することを想定する。概算事業費には約30億円と試算。なお、基本計画はザファーム(千葉県香取市)、基本設計は船場(東京都港区)が担当した。
基本コンセプトは「緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園」とし、▽日本で唯一の「泊まれる植物園」▽日帰り・宿泊に対応した新しいリゾートへ再生▽自然を感じながら、植物を学び・親しみながら、大人も子供も楽しい植物園に──を盛り込んだ。また、基本方針として、従来の植物園の機能は維持しつつ、これまでの利用者にも配慮した施設整備を行うとした。
リニューアルで新設する施設は、▽宿泊施設▽温浴施設▽レストラン▽バーベキュー場▽ボタニカルゲート──となる。このうち、宿泊施設は植物園の敷地内にコテージ18棟とグランピング27棟を整備する。
温浴施設は、温泉を想定している。施設は植物園の入口付近に設置する。内部には露天風呂やサウナ、リラックスルームなどを盛り込む。構造・規模は木造平屋1127平方mとする。
レストランは既存のバラ園付近に配置していく。日帰り客や宿泊客が利用でき、さらに、ガーデンウェディングの利用も想定した施設とする。規模は木造平屋349平方mとしている。
また、熱帯植物館では一部を改修し、内部にカフェやサウナを整備していく。カフェにはバニラの木を植え、香りを楽しめる「バニラドームカフェ」とする。なお、熱帯植物館の既存の機能は維持していく。既存施設の構造・規模はS造平屋2693平方mとし、このうち改修面積は約200平方mを予定する。
アクティビティでは、ツリーアドベンチャーやボタニカルワークショップ、ナイトライトアップなどを予定する。ツリーアドベンチャーでは、ジップラインや、森を活用したアスレチックを想定。設置場所は植物園と県民の森の間あたりを想定している。
入札参加形態は単独または複数企業で構成する企業グループとする。なお、このグループについては、この業務を目的とするSPCを設立することも認める。
参加資格をみると、実施設計を担当する者は単体または複数に設定し、建築関係建設コンサルタント業務の認定を受け、一級建築士事務所の登録を行っていることなど。履行実績としては、14年度以降に延床面積1200平方m以上の物販・飲食などの機能を有する複合・宿泊・温浴施設など、集客を目的とした建築物(以下、類似施設)の実施設計を策定したことが求められる。
建設工事を担当する者は、単体またはJVに設定。単体の場合は、建築Sで特定建設業の許可を有し、14年度以降に類似施設の施工実績を有することなどを求める。JVの場合は、構成員は3者以内とする。代表構成員は建築Sで、構成員は建築A以上とし、それぞれ特定建設業の許可を有すること。施工実績は単体と同様となる。
資格審査や提案審査の書類は5月14日まで受け付ける。その後、審査を実施し、5月中にも優先交渉権者を決定する。その後は、事業者と基本協定や工事請負仮契約など締結。6月議会で承認を受けた後、整備に着手する予定となっている。
プロポーザルの問い合わせは、県林政課森づくり推進室(電話029-301-4021)まで。