[2024/4/16　栃木版]

　県技術管理課は、施工現場での現場労働者の作業環境の改善を図り、建設業の担い手確保に寄与することを目的に、「土木工事における現場環境改善費の実施要領」を定めた。県土整備部が発注するすべての屋外工事を対象とし、原則として当初設計から、環境改善に要する費用を率計上する。実施内容は、現場環境改善で現場事務所の快適化や避暑・防寒対策など、地域連携で見学会の開催や社会貢献など。受注者は仮設備関係、営繕関係、安全関係の現場環境改善と地域連携の計上項目からそれぞれ1内容以上選択し、合計5つの内容を実施する。

　実施要領は、現場労働者の作業環境の改善や周辺住民の生活環境への配慮、一般住民への広報活動の実施に対して経費を計上し、建設現場の環境改善を図るとともに建設業の担い手確保等に寄与することを目的とする。

　これまでも、設計金額が3000万円以上で発注する事務所が必要と認めた工事でその経費を補正していたが、今回要領を策定して、県土整備部が発注するすべての屋外工事で作業環境の改善に取り組む。ただし、災害復旧工事や維持修繕工事など実施が困難なものや、工期が1カ月未満と短い工事など効果が期待できないものは対象外とすることが出来る。

　現場環境改善に要する費用は、実施する内容のうち計上項目(仮設備関係、営繕関係、安全関係、地域連携)をそれぞれ1内容以上選択し、合計5つの内容(いずれか1計上項目のみ2内容)を実施することを基本とした費用を、「土木工事標準積算基準書」(共通編)の土木請負工事における現場環境改善費の積算により原則として当初設計から率計上する。費用の対象額は、5億円を限度とする。

　なお当初設計金額が3000万円未満の工事では、受発注者の協議により現場環境改善を実施しないか、実施項目を5項目未満とすることができる。現場環境改善を実施しない場合は、変更の対象とし減工する。

　発注者は、特記仕様書に「現場環境改善費を率計上している」ため、受注者が合計5つの内容を選択し実施する旨を記載する。受注者は工事着手前に、工事打合せ簿で実施する5つの内容の分かる資料やどの計上項目に該当するかを記載し、経費の概算額(見積書は不要)とあわせ発注者に協議する。

　発注者は、受注者から提出のあった工事打合せ簿の内容を精査し、5内容を実施しており、現場環境改善費に関する経費の概算額の合計金額が率計上で計上する現場環境改善費と同程度である場合は、現場環境改善費として設計計上する内容として評価する旨回答する。また率計上によらず、別途積み上げ計上で現場環境改善を行う場合は、見積書を受注者に提出させ受発注者協議の上で実施内容を決定する。

　その後、受注者は実施した内容を「県土木工事写真管理基準(案)」に基づき提出する。実施した内容は竣工検査時に確認し、実施をしていれば優劣は問わない。

　留意事項として、現場環境改善費による実施項目に関する工事成績評定の加点は行わないが、当該実施5つの内容以外の現場環境改善に資する取り組みは、工事成績評定の加点対象とする。

　「県土整備部快適トイレ設置工事実施要領」に基づいて快適トイレを設置する場合は、現場環境改善費での取り組みの対象外とし、快適トイレ設置工事実施要領で費用を計上する。

　「熱中症対策に係る現場管理費の補正」を行う工事でも、現場管理費に係る内容を「熱中症対策に係る現場管理費の補正」で費用を計上し、現場環境改善費の対象としない。「熱中症対策に係る現場管理費の補正」を行わない工事では、現場管理費に係る内容・共通仮設費に係る内容共に現場環境改善費での取り組みの対象とする。

　このほか、第三者がいない工事現場でのPR看板の設置など効果が期待できない内容や、エアコンの購入のみで現場事務所へは設置しない場合など当該工事との直接の関係のない内容については、評価や費用計上の対象としない。

　計上項目ごとの実施内容は次の通り。
【現場環境改善(仮設備関係)】
▽用水・電力等の供給設備▽緑化・花壇▽ライトアップ施設▽見学路及び椅子の設置▽昇降設備の充実▽環境負荷の低減
【現場環境改善(営繕関係)】
▽現場事務所の快適化(女性用更衣室の設置を含む)▽労働宿舎の快適化▽デザインボックス(交通誘導警備員待機室)▽現場休憩所の快適化▽健康関連設備及び厚生施設の充実等
【現場環境改善(安全関係)】
▽工事標識・照明等安全施設のイメージアップ(電光式標識等)▽盗難防止対策(警報器等)▽避暑(熱中症予防)・防寒対策
【地域連携】
▽完成予想図▽工法説明図▽工事工程表▽デザイン工事看板(各工事PR看板含む)▽見学会等の開催(イベント等の実施含む)▽見学所(インフォメーションセンター)の設置及び管理運営▽パンフレット・工法説明ビデオ▽地域対策費(地域行事等の経費を含む)▽社会貢献