図書館核に複合施設 駅西口再開発 本年度は基本構想策定(取手市)
[2024/4/16 茨城版]
取手市では、取手駅北土地区画整理事業地内で進めている仮称・取手駅西口A街区地区第一種市街地再開発事業で、再開発ビルの一部の床を活用し、図書館機能を核とした複合公共施設の整備を行う方針を決定した。本年度に基本構想を策定したあと、25-26年度の2カ年で設計をまとめ、27年度の再開発ビル着工を待って、28年度にも内装工事に着手する。完成は再開発ビルの竣工に合わせて29年度を予定し、複合公共施設分の概算事業費には約40-50億円程度を見込んでいる。
この再開発ビルは、取手駅北土地区画整理事業内の最後の整備街区となるA街区(0.7ha)に計画しているもの。A街区は、これまで市の主体で進めてきたB・C街区と異なり、エリア内に民間のビルや宅地が立地するため、事業の実施には地権者の意向を踏まえながら土地の高度利用を図ることが求められている。
事業は組合施行による市街地再開発事業として進められ、17年7月に基本構想を策定したあと、18年1月には事業協力者として大京・戸田建設JVを選定した。19年6月には取手駅西口A街区地区市街地再開発準備組合が設立され、事業協力者とともに計画を進めている。
大京・戸田建設JVによる再開発ビルの提案では、都市機能として、商業・業務機能、公共公益機能、都市型集合住宅、広場空間を集約。建築物は、非住宅棟と住宅棟を建設。非住宅棟には駐車場や図書館、商業・業務施設なども設け、住宅棟には市内ナンバーワンのタワー型マンションとして、低層階にはサービス付高齢者向け住宅や保育施設などを設置することなどが盛り込まれた。施設規模は当初計画から一部変更され、25階建て延べ約3万6000平方mで、約200戸の住宅を見込んでいる。
市が整備する複合公共施設は、非住宅棟の2-2.5層分を活用。機能として、▽図書館▽カフェ・オープンテラス▽窓口・オープンステージ(イベント空間)▽音楽スタジオ・会議室▽多目的ラウンジ(フリースペース)──などを見込んでいる。
図書館機能については、既存の取手図書館を移転(既存の取手図書館を廃止)し、より広々とした学習・閲覧スペースや、開放感のある居心地の良い空間の確保、カフェの併設など、機能の拡充を図ることを目指す。このほかの機能では、図書館の整備にあわせて、多目的に活用できるラウンジ機能や、楽器が演奏できるスタジオ、市民の活動内容を発表できるスペースなど、市民交流・市民活動支援機能を複合させることを目指すとしている。
施設規模は、図書館機能が延べ3000-3500平方m程度、多目的ラウンジが延べ500-1000平方m程度(オープンステージ・窓口・カフェ等を含む)、音楽スタジオや会議室が延べ300平方m程度とし、全体では計4000-4500平方mを想定している。
市では、本年度に再開発事業の都市計画決定に向けた手続きを進める計画で、6月に住民説明会、9月に都市計画決定案の縦覧を行い、10月の市都市計画審議会と県との事前協議を経て、10月末ごろの告示を目指している。都市計画決定後は公共施設の基本構想を公表し、25年度には基本計画と内装の基本設計の策定を行い、26年度に実施設計をまとめる計画だ。
市の本年度当初予算には、取手駅北土地区画整理事業に6億9512万円、取手駅西口A街区第一種市街地再開発事業に1億0990万円などを計上。本年度中の完了を目指して、土地区画整理事業による都市基盤の整備を行うほか、25年度の事業認可と再開発組合の設立に向けて準備を進めていく。