投資会社に交渉権 鹿島セントラルビルの売却(県地域振興課)

[2024/4/13 茨城版]
 県地域振興課と鹿島都市開発は10日、鹿島セントラルビル(ホテル事業・不動産賃貸業)事業譲渡と敷地(県有地)売却に関する公募型プロポーザルについて、優先交渉権者に投資会社のフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン(東京都港区)を選定した。譲渡価格は22億円となる。同社は鹿島セントラルビル取得後、約10億円を投じて改修工事を実施する方針だという。今後は10月1日の譲渡に向けて、契約の詳細を調整していく。

 プロポーザルには1者が参加。選定委員会での審査と、鹿島都市開発の臨時取締役会の承認を得てフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンを優先交渉権者に選定した。なお、構成企業は同社とマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都港区)となる。

 プロポーザルの提案内容をみると、ホテルの名称は新館が「アートホテル鹿島セントラル」とし、フルサービスホテルブランドとする。本館は「フレックステイイン鹿島セントラル」で、中長期滞在型のホテルブランドを想定。なお、運営はマイステイズ・ホテル・マネジメントが担当する。

 投資方針は10億円を超える改修工事を予定している。工事内容としては、新館の客室で床壁天井更新や、ユニットバス美装、カードキー導入などを行う。レストランと宴会場については、内装美装や厨房機器の更新を実施。このほか、共用部の美装やWiFi更新、省エネ設備導入、外構整備などを盛り込む。新館の工事については、営業を続けながら段階的にエリアを区切って実施していく。

 温浴施設では主に美装を行う。具体的にはタイル美装やカラン更新、ロビーエリア美装などを予定している。本館では、主に設備関係の更新を行う。現状のまま営業を続け、設備や不具合のある箇所でメンテナンスを進める。

 フォートレス・インベストメント・グループ・は23年9月30日時点で、国内で3800件以上、取得コストで1兆1000億円以上の投資を行っている。グループ企業としては、ホテル運営会社のマイステイズ・ホテル・マネジメント、REITのインヴィンシブル投信法人、ゴルフ場の運営・管理会社であるアコーディア・ネクストなどで構成する。

 マイステイズ・ホテル・マネジメントについては、全国149棟のホテルを運営し、ホテル再生に強みを持つ。県内では亀の井ホテル大洗、潮来(旧かんぽの宿大洗、潮来)、亀の井ホテル筑波山(旧つくばグランドホテル)を運営する。

 今後は、9月に鹿島都市開発の臨時株主総会で譲渡の承認や、県議会第3回定例会での県有財産売却の議決を得た後、10月1日に譲渡し、営業を開始する見通しだ。

 鹿島都市開発は、出資団体等調査特別委員会において、特に県財政に与える影響が大きい「精査団体」に選定された。その際には、「将来的には県関与を廃止し、自立化を図るべき」や「ホテル事業を切り離し、民間のノウハウを活用することも検討すべき」などの提言があった。

 同ホテルの課題としては、新型コロナウイルスの影響を受けて、客室稼働率の低下や婚礼・宴会の大幅な減少が継続していることが挙げられる。さらに、老朽化が進む新館の大規模修繕費用の捻出が困難であることなど、経営状況が厳しく抜本的な改革が求められている。

 そこで県では鹿島開発のホテル部門等とその敷地である県有地を譲渡・売却する方針を決定。昨年10月末には、売却に関する公募型プロポーザルの手続きを開始した。譲渡の目的は、▽新しい時代に対応した前向きな設備投資によるホテルのリニューアル▽民間企業のノウハウに基づくマーケティングの強化▽人材育成と従業員の待遇改善──などを挙げる。

 譲渡の対象は、建物で本館(SRC・RC造陸屋根地下2階地上16階建て、延べ2万2366平方m)と新館(SRC・S造陸屋根地下1階地上16階建て、延べ3万3198平方m)、温浴施設(S造2階建て、延べ800平方m)などとし、土地は6万6115平方m。このほか、鹿島都市開発ホテル部門と不動産部門(賃貸業)の営業権、温泉汲汲上施設、井戸施設なども対象となる。

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