民活導入の可能性調査 新博物館構想案 伝承館と一体整備へ(小山市)

[2024/4/9 栃木版]

 小山市は、新しい博物館の整備に向けた基本構想案をまとめた。それによると、じゃがまいた伝承館との一体的な整備を検討しており、伝承館の建設予定地での整備を構想している。施設はデジタル技術の活用などのほか、体験交流・管理運営・展示室・収蔵および保管で構成する。整備にあたっては、2024年度に民間活力導入可能性調査を実施し、効果的な事業方式を検討していく。

 市博物館は1982年に建設され、老朽化に伴う不具合や設備の機能不足、展示の大規模更新の必要性、収蔵庫の不足などの課題があることから、新博物館の整備を検討している。

 一方で市は、間々田地区でじゃがまいた伝承館の整備を計画しており、間々田地区で新博物館と伝承館を一体的な整備を検討している。策定済みのじゃがまいた伝承館基本計画の内容を尊重しつつ、具体的な施設のあり方を検討する。間々田中学校や間々田八幡宮近隣の、市道4243号線沿いの伝承館の建設予定地で、新博物館の整備を構想している。

 博物館の活動計画で、収集活動の方針では▽資料分野ごとの収蔵庫の整備▽新博物館以外の既存施設等の活用▽文化財の特性に応じた収蔵空間の確保▽文化財の形状や大きさなどに応じた収蔵空間の確保-などを挙げている。

 また展示発信活動の方針では、展示の再構築を図るなどのほか、デジタル技術も含めた展示更新が容易な設備の導入を行う。新博物館は、市の歴史文化ネットワークの核となる施設にする。

 展示のテーマは「川と大地とわたし」とし、考古・歴史・民俗・自然の4つのゾーンを小山の魅力の全体像を紹介するガイダンスでつなぎ、来館者を導く展示構成とする。デジタル技術の活用や、可動型展示具の導入でフレキシブルな構成を可能にする展示空間とする。

 新博物館は、じゃがまいた伝承館の機能のほか▽体験交流エリア(エントランスホール、視聴覚室、体験学習室、多目的スペース、交流スペース、トイレなど)▽管理運営エリア(更衣室、電気・機械室、事務室、共用部・倉庫、活動室など)▽展示室エリア(常設展示室、企画展示室、展示準備室)▽収蔵・保管(整理室、資料閲覧室、資料撮影室、一時保管室、燻蒸室、荷捌き室、トラックヤード)-を配置する。

 屋外も駐車場や駐輪場のほか、土器焼き体験設備、火起こし等の体験スペース、ほっしー号(移動式天体望遠鏡)管理設備などを設ける。

 新博物館開館後の現博物館跡地については、本来の用途地域(第一種低層住居専用地域)に基づいた土地利用となることを前提に検討する。現博物館が有する国史跡乙女不動原窯跡のガイダンス機能も、新博物館に移転することを検討する。博物館の運営は、現在の直営方式を維持する。

 市では新博物館整備基本計画の検討や策定と並行して、民間活力導入可能性調査を実施し、官民連携のあり方や効果的・効率的な事業方式を検討していく。民間事業者に対して▽事業の市場性の有無▽事業の参画意欲の程度▽事業手法に対する要望・意見▽参画しやすい条件設定-などを調べ、導入効果の定量的評価(VFMの算定)や定性的評価の両面から比較し、事業手法を決定する。

 想定スケジュールは、従来手法の場合25年度に基本設計、26年度に実施設計、27~28年度に制作・工事を行い、28年度に開館する。DBO方式の場合は、25年度にアドバイザリー業務を委託して事業者を選定し、26~28年度に設計・製作・工事を行い、28年度に開館する。PFI方式では、25~26年度にアドバイザリー業務を委託して26年度に事業者を選定し、27~29年度に設計・製作・工事を行い、30年度に開館する。

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