［2024/4/4　茨城版］
　国土交通省関東地方整備局は、24年度予算の成立を受け、整備局管内の予算配分をまとめた。管内の配分事業費は1兆7745億円で、(前年度当初1兆7224億円)から3％増となった。本県関係の主な直轄事業では、新規事業として茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業に1億円を確保。継続事業では霞ヶ浦導水に約190億6000万円、緊急治水対策プロジェクト(23年度補正含む)で那珂川に約122億5000万円と久慈川に約113億5000万円、東関道水戸線(潮来～鉾田)に193億円を計上した。

　事業費配分の内訳は、直轄事業に4653億円、補助事業に5041億円、交付金に8051億円となり、このほかにゼロ国債で360億円が配分されている。整備局所管事業の基本方針では、▽国民の安全・安心の確保▽持続的な経済成長の実現▽個性をいかした地域づくりと分散型国づくり──の3本を柱に、23年度補正と合わせて切れ目なく取り組みを進める。社会資本整備には「未来への投資」と位置付け、ストック効果の最大化に取り組みつつ、既存施設の計画的な維持管理・更新・利活用を図りながら、前記の3本柱の実現に資する波及効果の大きなプロジェクトを戦略的かつ計画的に展開するとした。

　本県関係の主な直轄事業のうち、河川事業では、霞ヶ浦導水や緊急治水対策プロジェクトのほか、鬼怒川改修に18億1000億円、小貝川改修に7億6000万円、霞ヶ浦の利根川総合水系環境整備事業に16億9000万円などを確保した。

　霞ヶ浦導水事業は、霞ヶ浦や桜川などの相互の水を行き来させることによる水質浄化と水不足の軽減、新都市用水の確保の3つを目的に計画。現在は水戸立坑と霞ヶ浦の高浜機場(石岡市三村)を結ぶ石岡トンネル(約延長24.7km)の整備を進めている。昨年2月から施工中の第1工区は、近くシールド工事が完了する見通し。このほか、既に発注を終えている残りの3工区分(第3・第4・第5工区)は24年度中にシールド工事に着手する予定。事業期間は30年度までとしている。

　道路事業では、東関道水戸線(潮来～鉾田)のほか、国道6号牛久土浦バイパスに35億5000万円、神宮橋架替に24億円などを確保。25-26年度の開通を目指して引き続き、改良工事や橋梁上部工事などを進めていく。22年3月に1.3km区間が2車線開通した牛久土浦バイパスでは、I期事業で調査設計や用地買収、II期事業で改良工事や橋梁上部工事、III期事業で調査設計や用地買収などを進める。

　道路調査の見通しについては、都市計画・環境アセスメントを進めるための調査として、国道6号小美玉道路(仮称)が予定されている。県内の国道6号の未整備区間については、交通の円滑化を図るため、関係自治体と確認した当面の進め方を踏まえ、都市計画手続きや概略ルート・構造の検討に向けた調査を進める。鹿行南部地域では、高規格道路アクセス向上のため、関係機関とともに基本方針の検討を進めるとした。

　港湾事業では、新規事業の茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業のほか、茨城港常陸那珂港区外港地区国際海上コンテナターミナル等整備事業に9億7000万円、鹿島港外港地区国際物流ターミナル整備事業に10億円を計上した。新規事業の茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業は、新たな国際物流ターミナル(水深14m)を整備するもので、24年度は調査・設計などを予定する。

　県内の新規補助事業箇所では、県橋梁長寿命化修繕計画(桜橋・県道筑西つくば線など)に67億4000万円、県無電柱化推進計画(県道大甕停車場線・大みか町東工区など)に4億0800万円、が決定。市町村関係の新規事業では、土浦市中心市街地地区(土浦市)に3億4000万円、勝田駅周辺地区(ひたちなか市)に2700万円、小河城跡地周辺地区(小美玉市)に2億1400万円、阿見西部地区(阿見町)に1100万円、境市街地地区(境町)に1400万円が配分されている。

　主要事業以外の取り組みでは、▽防災体制の強化・充実、災害復旧の推進▽持続可能なインフラメンテナンスの実現▽脱炭素化やGXの推進、生産性向上や働き方改革の推進▽新たな国土形成計画の推進──を掲げる。このうち、脱炭素化やGXの推進、生産性向上や働き方改革の推進では、建設業の「2024年問題」の解決、持続可能な建設業の実現に向け、建設資材価格の変動への対応、週休2日の実現に向けた働き方改革の推進等による担い手の確保・育成を進めるほか、24年をインフラDXの「展開の年」として、インフラ分野のDXの推進等による生産性向上の取り組みを推進するとした。