下妻市内に新工場 国内最大規模の生産拠点へ(プレジィール)
[2024/3/30 茨城版]
プレジィール(東京都千代田区、安井元浩代表取締役)と下妻市開発公社(理事長・菊池博下妻市長)は、用地取得に係る予約計画を締結した。同社が取得を予定する用地は、しもつま中央工業団地の3号区画。分譲予定面積は約3.7haで、同社としては過去最大規模となる。取得した用地には東日本初で、国内最大規模となる生産拠点を整備する計画だ。今後は早期に着工し、28年中の操業開始を目指す。28日には安井社長と菊池市長ら関係者が県庁を訪れ、新工場の用地を取得したことなどを大井川和彦知事に報告した。
プレジィールは製菓事業を主力として企画、開発から製造、販売までを一貫して行っている会社。グラマシーニューヨークやファウンドリー、オードリーなどのブランドを展開し、百貨店や駅、空港を始め、全国で展開している。同社ではこれまで、愛知県の名古屋工場と三重県の桑名工場の2工場体制で生産を進めてきた。
しかし近年、関東エリアでの売り上げが全体の7割以上に及ぶことや、物流の2024年問題、既存工場のキャパシティ不足、新規事業・新ブランドの立ち上げ、海外展開などを受けて、関東エリアに生産拠点を進出することを決定。建設地については、候補地に挙がった各地を安井社長らが訪れ、その中で下妻市に好感を持ったことや、経済合理性の観点から立地を決定したという。
同社が取得する用地はしもつま中央工業団地3号区画の約3.7ha。用地取得額は約12億円となる。施設の規模については、年間製造数を4000万個、年間売上高を500-600億円、雇用数を300人に設定。なお、現在稼働している2工場の合計は、製造数が3000-4000万個、売上高が400-500億円となるため、下妻工場は最大規模の拠点となる。
下妻工場は2期に分けての整備を予定。このうち、1期整備では、売上高で250-300億円の規模を想定している。第1期の操業開始は28年中とし、フル稼働は30-32年度ごろになる見通しだ。
今回の立地決定について、安井社長は「社名のプレジィールは、フランス語で喜びを意味する。世界一といわれる日本の菓子を世界中に届けることで、世界中に喜びを伝えていきたい」と意気込みを語った。
菊地市長は「素晴らしい企業が立地することが決定し、歓迎している。市としては、工場敷地内に誘客施設を整備してもらい、交流人口の拡大につながることを期待している」と述べた。
しもつま中央工業団地は、しもつま鯨工業団地が完売したことを受けて、下妻市開発公社が整備を進める新工業団地。同地はイオンモール下妻の南側に位置し、敷地面積は37.4haで、分譲面積は28.8haとなる。内訳は1号区画が19ha、2号区画が6.1ha、3号区画が3.7haとなる。
事業の進捗としては、本年度から本格的に工事に着手した。造成工事は第1工区を塚田・端・下妻JV、第2工区を根本・初沢JV、調整池ポンプ設置工事は昱(あきら)が担当。残る工業団地関連の工事としては、道路や排水路、水道の工事などを予定する。発注時期については、造成工事などの進捗を踏まえて判断するという。工業団地の引き渡し時期は25年3月を予定している。
分譲の進捗については、これまでに1号区画をカルビー(東京都千代田区)に分譲することが決定。残る2号区画の分譲についても、事業者が決定している状況にある。これから、各種調整を行い正式に決定すれば、事業者を発表する見通しだという。