3社のグループを選定 県自治会館の建て替え 賃貸住宅やコンビニも整備(栃木県市町村組合)
[2024/3/29 栃木版]
県市町村総合事務組合は、宇都宮市にある県自治会館の建て替えと民間活力を活用した土地活用(収益施設の整備)整備事業で、設計施工一括発注方式のプロポーザルを実施し、県内法人も参加する3社によるグループを優先交渉候補者に選定した。今後は4月の組合議会で契約を審議して承認した後、応募者名を公表する。優先交渉候補者の提案によると、会館施設を新設するほか、民間の賃貸住宅やコンビニエンスストアを整備するとしている。
プロポーザルには2者が参加し、技術提案書提出前に1者が辞退した。審査の結果、参加した1者を優先交渉候補者に選定している。構成法人はハウスメーカーのほか、県内法人の資産管理会社と総合建設会社の3者となっている。このほか、協力事業者にはハウスメーカー建設部門、ハウスメーカー賃貸住宅運営部門、コンビニ事業者の3者が参加した。提案価格は、新会館建設(設計・建設・解体)が22億9900万円(税込)、借地代が年間542万円となっている。
今後は5月にも、新会館や民間賃貸住宅の設計に着手する。民間賃貸住宅は8月に着工し、2025年3月に完成させる計画。新会館は25年1月に着工し、26年3月の完成を予定し、民間施設のコンビニエンスストアは26年7月に設計や工事に着手して、27年5月に完成させる。現会館の解体工事は、26年5月から11月に行うとしている。
県自治会館は1976年建設で、RC造地上4階地下1階建て・延べ床2953平方㍍の規模で、付帯施設として北側に砂利敷の駐車場(A3913平方㍍)を設けている。新たな会館は、この駐車場に建設する予定。会館を運営する組合は、移転後の跡地(A1339平方㍍)を含めた敷地全体のうち、新会館を整備した残りの敷地で民間活力を活用した土地利用を図り、安定財源確保を検討している。
提案によると、凸状の敷地について、敷地中央に会館施設、西側に民間の賃貸住宅、会館南側に民間のコンビニエンスストアを配置し、施設周囲に駐車場を配置する。北側の市道251号線が狭あいであることから、敷地をセットバックして周辺交通環境に配慮する。敷地内には気軽に訪れて憩えるよう、北側の市道251号線と南側の都市計画道路3・4・106号塙田平出線を結ぶように「ぷらっと小路」、賃貸住宅正面に「ぷらっと裏小路」を設定する。
会館施設はS造4階建て・延べ床約3300平方㍍で計画し、エントランスホールなどの壁面に大谷石を活用して、外構には県内の代表的な樹木を植栽する。各階の諸室は、間取りの可変性に配慮したシステム天井・OAフロアを採用する。ZEBReady仕様とし、建物部材や設備機器は高品質部材や耐久性の良い部材を採用する。
民間施設は定期借地権契約を結し、賃貸住宅は50年、コンビニエンスストアは31年の期間とする。賃貸住宅は2階建てで延べ床面積約687平方㍍で、ZEB―M取得のハウスメーカー認定工法で建設し、居室は10部屋とする。高収入世帯をターゲットとしたホテルライク的な高級感の住空間とし、浸水高さより高いフロアレベル設定を行う。コンビニエンスストアは平屋建てで、延床面積は約200平方㍍。太陽光パネルを搭載し、業界最大手の事業者を協力事業者とする。
提案内容は▽事業系で31年、住居系で50年の長期間にわたって持続的な事業遂行が期待できる▽会館施設は、高気密性の諸室や太陽光発電による創エネでZEBReadyの認証を目指し、エントランスホールには大谷石の活用、県産出材の積極的な使用、外構植樹には県内の代表的な樹木植栽▽設計期間中に主要部材を一括発注し、建設期間を短縮▽民間施設の賃貸住宅は、高収入世帯をターゲットとし、間取りや居室がハイグレードな設備▽大手協力業者と連携し、長期に安定的な運営を目指している▽浸水を考慮したフロアレベルの整備や、24時間コールセンターの活用▽民間施設のコンビニエンスストアは災害非常時の流通機能早期再構築など、過去の災害実績なども含めて説明▽地域経済の配慮では、地元企業を中心としたグループで、下請企業に県内事業者を活用―などと評価した。
一方で▽会館を優先とした施設規模の整備計画とし、緑化の確保、県庁通りからの視認性、自治会館として品格ある景観、趣き・ゆとり・潤いのある進入路の確保▽施設内の開放感の確保▽安定した継続運営への対応策を講じる―などが付帯された。