宮建協と初の災害訓練 現場実動で連携確認 ウェブ会議システム活用(仙台河川国道・北上川下流)
[2024/3/12 宮城版]
今回の訓練は、東北地方整備局と宮建協が加盟する東北建設業協会連合会(東北建協連・千葉嘉春会長)の災害協定に基づく取り組み。仙台河川ら出先事務所と宮建協の実動訓練は初の実施となった。東日本大震災の発災日に合わせ、訓練を通して応急対策の実効性を検証し、これまでの経験・技術を伝承する目的もある。
当日は国交省2つの事務所から職員24人、宮建協・東北建協連から35人の計59人が参加。宮建協からは千葉会長はじめ幹部が協会本部に詰め、会員の熱海建設と田中建材輸送の2社が現地で活動した。実動訓練は田中建材輸送の全面協力により、同社が所有する亘理町逢隈の土取り場で行った。
訓練のポイントは▽ウェブ会議システム(Microsoft Teams)を使った的確な情報の把握・共有▽ドローンによる被災・対応状況のリアルタイム配信──。シナリオは午前9時に石巻市内で震度6強を観測する地震が発生し、国道45号にガレキが堆積、北上川堤防の地盤沈下、井内地区で法面が崩落した被害を想定。午前10時にウェブ会議システムにより仙台河川国道事務所の田中誠柳事務所長が宮建協の千葉会長に対応要請し、訓練を開始した。
現場では要請を受け、ガレキに見立てた流木をバックホウで取り除く道路啓開を行い、破堤・越水を防止するためのトンパック設置や、法面崩落箇所の2次被害防止として大型土のうの製作と2段積みを訓練。現地対策本部に詰めた田中建材輸送の担当者もスマホでウェブシステムに入り、仙台河川の災害対策支部・宮建協本部と逐一、映像・音声による進捗確認を行った。
一部、音声や通信の不具合など滞った場面もあったものの、スムーズに指示や情報の伝達が行われ、正午には訓練が完了した。
訓練終了後、千葉会長は「能登半島地震によりインフラの重要性を改めて感じている。毎年のように自然災害が発生する中、今日の訓練でリアルタイムの映像を確認しながら対応できた。大変有効だと感じた」と講評した。
仙台河川の田中事務所長は宮建協や田中建材輸送らに感謝を述べ「リアルタイム映像による有意義な訓練だった。地元建設業の皆さんに大震災で被災しながらも最前線で活躍していただいたことを思い出した。われわれも訓練を通じて建設業界の皆さんとしっかり連携し、対応に当たっていきたい」と力を込めた。