労働者の処遇改善へ 建設業法等の一部改正を閣議決定(国交省)
[2024/3/9 栃木版]
政府は8日、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定した。建設業の担い手を確保するため、契約取引に係るルールを整備する内容で、労働者の処遇改善では労務費の基準の作成・勧告、資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止では資材価格変動時の請負代金の変更方法の明確化、働き方改革と生産性向上ではICTの活用による効率化などを盛り込み、今国会に提出して成立を目指す。
29年度に週休2日を原則100%に
改正に至った背景として、建設業は他産業より賃金が低く、就労時間も長いため担い手の確保が困難となっているほか、建設業が「地域の守り手」としての役割を将来にわたって果たしていけるよう、時間外労働規制などにも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に取り組む必要があるとしている。
法案の概要のうち、「労働者の処遇改善」では建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化し、国はその取り組み状況を調査・公表して中央建設業審議会へ報告する。
また労務費などの確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者および注文者の双方に対して著しく低い労務費などによる見積り書の作成や変更依頼を禁止する。あわせて、原価割れ契約の禁止を受注者にも導入し、不当に低い請負代金による契約締結を禁止する。
「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」では、契約前のルールとして資材高騰など請負代金や工期に影響を及ぼす事象(リスク)がある場合、請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化する。また、資材価格変動時の請負代金などの「変更方法」を契約書の記載事項として明確化し、注文者に対して当該リスク発生時は、誠実に協議に応ずることを努力義務化する。
さらに契約後のルールとしても、資材高騰が顕在化した場合に受注者が「変更方法」に従って契約変更協議を申し出たとき、注文者は誠実に協議に応じる努力義務とし、公共工事発注者については誠実に協議に応ずる義務とする。
「働き方改革と生産性向上」では、長時間労働を抑制するため工期ダンピング対策を強化し、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止する。生産性の向上ではICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任義務を合理化する。
また公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化し、ICTの活用で施工体制を確認できれば提出を省略できるようにする。ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対して効率的な現場管理を努力義務化する。
これらの取り組みにより、2024年度から29年度で全産業を上回る賃金上昇率の達成を図るとともに、29年度に技能者と技術者の週休2日の割合を原則100%とする目標を設定している。