本庁舎建替の調査着手 浸水など防災面に課題(船橋市)

[2024/3/6 千葉版]

 船橋市は、市役所本庁舎の建て替えに関する調査研究に着手する。津波や高潮、洪水・内水の浸水想定区域に位置し、防災拠点施設に求められる耐震性の目標値を下回っているなど、防災面の課題を抱えおり、担当課では、「移転建て替えは移転先の選定が必要なことから難しい面もあるが、さまざまな事例を調査、研究していきたい」と話している。

 本庁舎は1982年10月竣工。築41年が経過するなど、老朽化が進んでいる。SRC造地下2階・地上11階建て延べ3万6514平方m。敷地面積は1万2691平方m。敷地は一部が借地で、土地賃貸借契約期間は2047年まで。

 構造耐震指標(Is値)は0.65で、耐震性を有しているものの、災害対策本部が設置される防災拠点施設に求められる目標値(0.9以上)を下回っている。

 浸水深として、津波1m~3m、高潮5m以上、洪水・内水0.5m~3mが想定されており、災害時に、庁舎機能の維持や災害応急活動に支障を来すことが危惧されている。

 そこで、建て替えに関する調査とは別に、24年度の予算案には、水害対策調査費として1300万円を計上。本庁舎の地下には、電源設備や電話交換機など災害時の業務遂行に重要な設備が設置されていることから、浸水対策の最新の工法や考え方などを調査、あらたな止水板の整備など必要な対策を検討することにしている。

 なお、24年度の予算案には、特定天井改修の実施設計費として2350万円を確保、今後、本庁舎1階エントランスとロビーの特定天井を改修する。基本設計は日建設計が担当した。

 市では公共建築物保全計画を策定、SRC造で適切な保全が行われた建築物については、目標使用年数を80年に設定。20年~30年周期で改修し、コンクリートの強度などの物理的な面、庁舎機能として課題が生じていないかといった面などを考慮しながら使用年数を検討している。

 築50年の消防局・中央消防署合同庁舎については、老朽化が著しく、国家公務員宿舎船橋行田(ぎょうだ)住宅跡地に移転建て替えることを計画、現在、設計をまとめている。

 移転候補地の検討にあたっては、災害リスクの低い場所などの立地条件を考慮して選定。建て替えにあたっては、新消防庁舎内に、災害対策本部を設置することも検討している。

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