県植物園に30億円 東海高校で放射線防護対策(県補正)
[2024/3/6 茨城版]
県は2月29日に開会した県議会定例会に、補正予算案や県有財産の売却処分などの議案を提案した。このうち、一般会計には185億3900万円を減額し、総額を1兆3293億1400万円とする。主なものでは県植物園のリニューアル整備費に30億8000万円を予算化。このほか、原子力災害対策事業として、東海高校や日立商業高校など4施設での放射線防護対策に向けた工事費や設計費などを盛り込んだ。
植物園等魅力向上対策事業では、植物園のリニューアルに向けた実施設計と整備工事費に30億8000万円を確保した。24年度中に設計と工事を完了し、25年度の供用開始を目指す。
この事業は老朽化や利用者減少が進む県植物園と県民の森のリニューアルを行うもの。対応方針としては、施設の現状や利用状況を踏まえ、植物園としての機能を活かしつつ、県内外からの集客を実現できる魅力あふれる施設への一新を図ることを掲げた。その際には、民間のアイデアを活用し、新たなコンセプトを導入することを想定する。概算事業費には約30億円を試算した。
基本計画によると、コンセプトは「Botalassian Resort IBARAKI-緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園-」とし、▽日本で唯一の「泊まれる植物園」▽日帰り・宿泊に対応した新しいリゾートへ再生▽自然を感じながら、植物を学び・親しみながら、大人も子供も楽しい植物園に──を盛り込んだ。
リニューアルで新設する施設は、▽宿泊施設▽温浴施設▽レストラン▽バーベキュー場▽ボタニカルゲート──となる。このうち、宿泊施設は植物園の敷地内にコテージ18棟とグランピング27棟を整備する。事業費についてはコテージが2億3400万円、グランピングが1億3500万円と試算した。
温浴施設は、温泉を想定。施設は植物園の入口付近に設置する。内部には露天風呂やサウナ、リラックスルームなどを盛り込む。規模は浴室に約460平方m、レストランに約150平方mを確保。建設費は10億円に設定した。
レストランは既存のバラ園付近に配置。日帰り利用者や宿泊利用者が利用でき、ガーデンウェディングの利用も想定した施設とする。規模は室内客席約200平方m、屋外客室60平方mを予定。整備費は1億円としている。
リニューアルでは、新築工事に加えて、既存施設の改修や構造物の設置、造園工事なども予定している。このうち、熱帯植物館では一部を改修し、内部にカフェを整備していく。
基本設計は、2月28日に船場(東京都港区)と契約を締結した。現在は、基本設計の策定を進めている段階にある。
今後は、基本設計がまとまり次第、実施設計や工事に着手する考え。現時点では、設計・施工一体型にするかなどの発注方式については、未定としている。ただし、温浴施設などの新築工事には、完成までに時間がかかるため、効率の良いスケジュールを検討しているという。
原子力災害対策事業には9億1700万円を予算化。これは原子力災害が発生した際、すぐに避難が難しい社会福祉施設や医療施設において、放射線防護対策を行うもの。工事内容としては、陽圧化や気密化などを予定する。対象となる施設は東海高校と日立商業高校の体育館、東海村の総合体育館、那珂市の小豆畑病院となる。
このうち、東海高校と日立商業高校分については、県が整備を行う。東海高校では、本年度に実施設計をまとめ、24年度に工事を行う。一方、日立商業高校では、24年度に設計をまとめ、25年度に工事を実施していく。
残る総合体育館と小豆畑病院については、整備の補助を行う。総合体育館については24年度中に設計をまとめ、25年度に工事を行う。小豆畑病院では、本年度中に設計をまとめ、24年度中に工事を完了する見通しだ。
このほか、県公立学校情報機器整備基金には17億8800万円を積み立てる。これは、公立学校の児童生徒に1人1台の端末を整備するための基金となる。
財産の売却では、小美玉市与沢地内の用地2万8088平方mを小美玉市に1億2272万9000円で売却する。この売却は、茨城空港周辺に進出を希望する航空系の民間企業の誘致に向けて、市に同地を譲渡するもの。市では用地取得後、24年度中にも造成工事を行う予定となっている。