新体育館に63億円 当初予算 市道0139号線整備へ26億円(常陸太田市)

[2024/3/5 茨城版]
 常陸太田市(宮田達夫市長)は、4日開会の定例市議会に24年度の当初予算案を提案した。一般会計は315億0700万円で、大型事業の着手などにより前年度比23.8%の増額となった。新年度も4つの重点施策ごとに各種事業を盛り込み、主なものでは新体育館整備事業の着工に向けて総額63億2039万円の3カ年継続費を設定するほか、竜神大吊橋再塗装やかなさ笑楽校LED化と体育館改修などの観光施設整備費に4億1543万円、市道0139号線整備事業に26億4828万円、太田城跡周辺整備に1046万円、瑞竜霊園整備工事費に9245万円などを計上した。

 一般会計に占める普通建設事業費は79億1811万円で、新体育館や市道0139号線の事業費増加などにより、前年度当初比約2.7倍となる169%の増加となっている。特別会計と企業会計を含めた総額は490億2276万円で、一般会計や下水道事業会計の増加で前年度当初比14.7%の増額となった。

 主な事業のうち、新総合体育館整備事業では、27年度の供用開始に向けて、新年度から建設工事に着手する。この事業は、1977年に完成した現在の市民体育館について、老朽化や狭あい化、トイレや観覧席の不足、バリアフリー化への対応、空調がなく夏場の使用にも支障があることなどから計画した。メイン・サブアリーナを含めた計画延べ面積は6912平方mで、敷地内には体育館のほかに、多目的運動広場や545台を収容する駐車場などを配置する。

 本年度は、昨年11月までに旧市民体育館の解体工事を完了。現在は、年度内の完了を目指して安井建築設計事務所(東京都千代田区)・柴建築設計事務所JVにより実施設計をまとめている。着工は9月の定例議会後となる見通しで、本体工事は24年度から3年間、外構工事は25年度から2年間で実施し、27年度からの供用開始を目指す。

 観光施設整備では、本年度から順延していた竜神大吊橋の再塗装工事に着手するほか、新たにかなさ笑楽校LED化と体育館の改修工事を進める。竜神大吊橋は、旧水府地区の竜神ダム上に架けられた歩行者専用の吊橋で、1994年に完成した。橋長は全長446m(中央支間375m)で、上部桁はトラスト補剛型式となる。完成後は、00年度ごろに再塗装工事と橋両側にあるアンカレイジに龍の絵が描かれ、12年度には再塗装工事とアンカレイジのデザイン変更が行われた。本年度の当初予算には、塗装改修工事費1億6781万円を確保していたが、県の茨城デスティネーションキャンペーンと被ることから実施を見送り、10月に開かれた臨時議会で全額を減額した。今回はアンカレイジの改修はなく、再塗装工事のみとなる見通し。

 市道0139号線整備事業では、29年度の完成に向けて、引き続き改良工事や橋梁工事を県施工により進めていく。同線は、日立市内の国道245号から笠間市内の国道50号を結ぶ日立笠間線の一部として整備を行う市内区間。県が1997年に日立笠間線真弓ルートとして事業化したが、事業費などの問題から事業が進まず、市と日立市が合併特例債を活用して進めている。現在のところ、全体事業費は約135億円を見込む。

 全体延長5480m(車道幅員6・5m、2車線)のうち、市道0139号線は延長5030m。区間内には、延長2084mの真弓トンネルや5カ所の橋梁を整備。常陸太田市ではトンネル区間や橋梁などを含めて全区間を県に委託して設計や工事を進める。トンネル区間については、設計まではほぼ完了したもようだが、着工時期については未定としている。

 新規事業では、太田城跡周辺整備事業で展示施設の展示方法の調査・検討や、太田城跡周辺エリア用地測量などを行う。この事業は、太田小学校などを含めた太田城跡周辺の歴史的・文化財的価値の保存と活用により、市民や来訪者の回遊性の向上と賑わいの創出を図るもの。対象は、住宅地と活用が見込まれるJT跡地周辺などで、出土品などの展示施設整備などに向けて調査を進める。

 市営瑞竜霊園墓地では、拡張工事に着手する。新たな区画は、既に造成済みの既存区画東側にある未整備区域(約5300平方m)に整備する。計画では、規格墓地を109基程度(1区画4平方m、カロートなし)、納骨堂型合葬墓地を1基(納骨室400体程度、合祀室1500体程度、参拝所)、樹木型合葬墓地(500体程度、参拝所)などを整備する。設計は、都市計画研究所(東京都中央区)が策定した。

 このほか、排水ゲート基本設計など内水対策事業費3884万円を確保し、市内に4地点ある河川の合流部について、内水対策を進めていく。新宿天神林線整備事業には2億3788万円を確保し、盛土補強土壁工事や舗装工事を、市道等補修改良事業では8億5123万円を計上し、市民生活道路の安全対策などを進める。

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