揚水機場3カ所を改築 登米に排水機場新設検討 旧迫川二期地区の農業施設(東北農政局)
[2024/2/28 宮城版]
東北農政局は旧迫川二期地区(登米市、涌谷町)の国営かんがい排水事業に向け、本年度から地区調査を実施しており、今後に全体の実施設計をまとめ、早急に事業着手するよう検討を進めている。同事業では降雨量が増加していることも踏まえつつ、老朽化した揚水機場(用排水機能を併せ持つ)3カ所の改築と2カ所の改修や、登米市内に新排水機場1カ所の建設などの検討を進める。
旧迫川地区は1966~78年に国営かんがい排水事業で揚水機場6カ所や、幹線用水路6路線の延長21・1㎞、幹線排水路3路線の延長12・2㎞などを整備した。当時の受益面積は6330㏊。いずれの施設も築50年以上が経過して老朽化している。
このため、旧迫川二期地区の国営かんがい排水事業として、旧迫川の右岸側を除く揚水機場5カ所を改築、もしくは改修する。登米市内には新たに排水機場1カ所を新設する。近年の降雨量増加を踏まえ、単純に更新するのではなく現状に合わせた形で整備水準を上げる。受益面積は約5000㏊になる見込み。
改築するのは▽米山揚水機場▽南方揚水機場▽高石揚水機場――の3カ所。改修するのは▽山吉田揚水機場▽西館揚水機場――の2カ所。新設は西排水機場を計画している。場所は米山揚水機場が涌谷町内で、残りは全て登米市内。
改築は建物ごと造り変える。改修は既存の建物を補強・補修するとともに、ポンプ設備を交換する予定。
新しい機場の能力(毎秒)は、米山の排水が16tと用水が5・95t、南方の排水が22・2tと用水が2t、高石の排水が16tと用水が0・54t、山吉田の排水が7・8tと用水が8・21t、西館が用水のみで1・3t、西が排水のみで7・9tを想定している。西館の排水は県営施設に統合する予定。
排水路や用水路についても老朽化している部分を補修するほか、必要に応じて拡幅する考え。水管理施設は更新する。
コンサル業務は、整備構想検討業務と測量業務をNTCコンサルタンツ、南方揚水機場と西排水機の基本設計業務を三祐コンサルタンツ、排水機場の地質調査業務を内外エンジニアリング、排水解析業務をサンスイコンサルタントに委託した。
東北農政局が1月30日付で公表した発注予定によると、2024年度は北上土地改良調査管理事務所が、米山揚水機場他基本設計業務や、環境配慮計画策定業務を簡易公募型プロポーザル、米山幹線排水路他現地測量業務や、用排水計画検討その他業務、土地改良事業計画書作成その他業務、名寄調書その他作成業務、経済効果算定その他業務を一般競争入札で委託する見通し。
このうち、米山揚水機場他基本設計業務は、米山揚水機場と山吉田揚水機場の基本設計をまとめる業務で、3月にプロポの手続きを公告する予定。履行期間は約11カ月。
米山幹線排水路他現地測量業務は、米山幹線排水路と米山中央幹線排水路、高石幹線排水路が対象で、4月に入札手続きを公告する予定。履行期間は約7カ月。
旧迫川地区には県営の排水機場が8カ所あり、こちらは関連事業として統廃合する予定。計画では2カ所を廃止して他の機場に統合し、最終的に6カ所とする見通し。
旧迫川の右岸側にある箟岳揚水機場と箟岳幹線用水路については、国営施設応急対策事業で先行的に改修・更新する。事業期間は2021~26年度の6年間。全体事業費は25億円を試算している。