庁舎複合化を計画 概算事業費は約34億円と試算(五霞町)

[2024/2/15 茨城版]
 五霞町はこのほど、庁舎複合化基本計画案を公表した。それによると、新庁舎は役場庁舎と中央公民館との複合化を図り、中央公民館敷地に建設することを示した。施設の規模は延べ4240平方mとし、概算事業費は34億2700万円と試算。町では29日までパブリックコメントによる意見募集を行っており、23年度中にも基本計画をまとめる。24年度には地区計画を策定し、25年度にはプロポーザルで設計業者を選定して基本設計に着手するとともに、都市計画の変更に向けて手続きを行う見通しだ。建設工事は27-28年度の2カ年で実施し、28年度中の供用開始を目指す。

 複合庁舎の建設場所は、小福田地内に立地する中央公民館の駐車場約2万1200平方mとなる。施設の規模は当初、耐震構造、RC造2階建てとし、延べ面積は既存施設約70%となる3920平方m程度を想定していた。しかし、整備する予定がなかった講堂を町民の要望により整備することになり、目標値を超過することになった。算定した規模は、庁舎が2165平方m、公民館が700平方m、講堂が500平方m、附属建屋(詰所、車庫)が875平方mの合計4240平方m。今後基本設計の段階で、面積縮減の検討を行うという。

 新庁舎は災害対策活動拠点としての役割を担うために、地震や水害に耐え得る構造とする。執務機能は、課ごとにグループ分けするほか、ユニバーサルレイアウトを採用。また、職員用のリフレッシュスペースを設置する。窓口機能は、プライバシーに配慮したスペースや、子供連れの町民に配慮したスペースを設ける。公民館機能は、図書室や調理室、創作室、研修室、和室、郷土資料の展示コーナー、多目的ロビーなどを設ける。講堂機能は、複合庁舎に組み込むこととし、面積は現状の利用頻度を踏まえ、縮小を図っていく。

 概算事業費は税込34億2700万円と試算。内訳は、調査費に1320万円、設計・工事監理委託料に3億1240万円、本体工事費に22億7700万円(複合庁舎15億8400万円、講堂4億1800万円、附属建屋2億7500万円)、外構工事費に4億9500万円、解体工事費に1億8700万円、その他備品購入などに1億4240万円となる。

 基本方針は、▽町民の新しい居場所となる複合庁舎▽平時にも非常時にも安心して利用できる複合庁舎▽柔軟な使われ方ができる効率的な複合庁舎▽町の自然に溶け込む快適な複合庁舎▽建物のトータルコストを縮減できる経済的な複合庁舎──を掲げた。

 この方針を踏まえ、複合庁舎として必要な備えるべき性能と役割を設定。このうち、「町民の新しい居場所」では、暮らしの拠点となる図書室や新たな機能を持った利用諸室、行事やイベント利用が可能な広場などを備える。「平時にも非常時にも安心して利用」では、ユニバーサルデザインやバリアフリー、明確なセキュリティ、耐震性、江戸川・利根川の氾濫に備えた建物レベルの設定、BCP(事業継続計画)への対応などを盛り込む。「柔軟な使い方で効率的に利用」では、ICT環境や行政DX、議場の多目的利用、議場などのICT化、傍聴機能の多様化を想定。「町の自然に溶け込む快適な空間形成」では、土地の利活用(既存平地林など)や自然通風、自然採光、「建物のトータルコストを縮減し経済性を重視」では、コンパクトな複合庁舎、エネルギー消費量の低減、再生可能エネルギーの利用などを採り入れるとした。

 また、土地利用の基本方針として、複合庁舎は公民館を使いながら建設していく。1階は江戸川氾濫に耐えるレベル(約1.2m以上増)、2階は利根川氾濫に耐えるレベル(約3.2m以上増)とするため、最適な建物レベルを設定する。県道西関宿栗橋線からの入口は現況の入口を利用するほか、平地林は可能な限り残すとした。

 町では「役場庁舎等複合化基本計画検討委員会」を設置して基本計画を策定。29日までパブリックコメントによる意見募集を行っており、ここで提案された意見を踏まえて基本計画としてまとめる予定だ。基本計画の策定支援業務は、三上建築事務所(水戸市)が担当している。

 事業のスケジュールは、24-25年度で地区計画を策定するとともに事前協議に入り、25年度には都市計画変更手続きを行って、26年度の都市計画決定を目指す。設計業者の選定はプロポーザル方式を採用して24-25年度で行い、25-26年度で基本・実施設計を策定する。設計がまとまれば、26年度中に工事の発注準備を行い、議会の承認を得て27-28年度で建設工事を実施する。工事期間には20カ月程度を見込んでおり、29年1月の供用開始を目指していく。

 既存庁舎は1963年にRC造2階建ての建物として建設された。その後、S造3階建ての議会棟を増築し、延べ面積は2168平方mとなる。建築後60年が経過し、老朽化が進行している。中央公民館は79年に建設されたもので、建築後45年が経過しているうえ、バリアフリーなどの機能は満たしていない。建物の規模はRC造3階建て、講堂を含めた延べ面積は3027平方mとなる。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.