断面拡大や屈曲解消 旗川改修 JR橋より下流の1.4kmで(栃木県河川課)
[2024/2/1 栃木版]
県河川課は2024年度から、一級河川旗川の河川改修事業に着手する。事業区間は、県管理下流端から上流端のJR両毛線までの延長約1400mとし、河川断面の拡大や屈曲部の解消などにより、計画流量毎秒700立方mの洪水を安全に流下させる。測量設計は24年度から2年間で、工事は26年度から8年間でそれぞれ実施する計画で、総事業費は約21億円を見込む。
旗川は佐野市街地の西部を流下し、一級河川渡良瀬川に合流する流域面積151.6平方km、管理延長32.5kmの河川となる。このうち、足利市寺岡町地先から佐野市並木町地先までの区間は川幅が狭く、また屈曲していることから流下能力が不足しており、近年では令和元年東日本台風で家屋や農地などに浸水被害が発生したほか、沿川の県道山形寺岡線が通行止めとなるなどの被害が生じている。
このため県は、この区域の浸水被害軽減を図るため、河川断面の拡大や屈曲部の解消を行う。この区間の下流側では、国管理区間で実施している直轄河川改修事業の進捗が図られており、引き続きその上流でも切れ目なく整備ができるよう、県も24年度から事業に着手する。
計画によると、事業区間は県管理下流端から上流端のJR両毛線橋梁までの、流下能力が不足している延長約1400mで、河道掘削や築堤、護岸工などにより流下能力の向上を図る。計画流量は、下流側の直轄河川改修事業や上流側で県が実施中の大規模特定河川事業と同じく毎秒700立方mとし、概ね30年に一度の割合で発生する洪水流量を安全に流下させるよう整備する。
工事の内容は、掘削が約19万3000立方m、築堤が約5万2000立方m、護岸工が約1万4500平方mで計画。代表的な横断計画は、河道幅を整備前の約50mから約100mへと拡幅し、2分の1勾配の護岸を整備するほか、両側に天端4m幅で築堤を行う。
事業予定期間は24年度から33年度までの10年間とし、このうち測量設計は24年度と25年度の2カ年で、用地補償は25年度から30年度までの6年間で、工事は26年度から33年度までの8年間でそれぞれ実施する。
総事業費は約21億円を見込み、国と県がそれぞれ50%を負担する。事業費の内訳は、測量設計費が約1億円、用地補償費が約1億円、工事費が約19億円となっている。
この事業により、氾濫シミュレーションの結果では計画規模の洪水に対し、約570haの浸水被害が解消される見込みで、浸水家屋1029戸の被害も解消される。また、主要地方道桐生岩船線の浸水被害が解消され、緊急輸送道路の機能が確保されるとしている。