下妻消防署を移転 消防施設再配置計画の改定(茨城西南組合)

[2024/1/30 茨城版]
 茨城西南地方広域市町村圏事務組合はこのほど、09年に策定した「消防施設再配置計画」を一部改定した。それによると、新しい計画では近年の豪雨災害などの水害危険に着目して水害リスクに対応したものとするとともに、施設の老朽化や耐震性能不足、水害浸水域など多くの問題を抱える消防施設の早期建設を目的とする。現況の19施設を14施設へ統廃合する計画で、特に老朽化の著しい坂東消防署や下妻消防署、住吉分署の建て替えを優先して行う必要があるとしている。このうち、坂東消防署では建て替え計画が具体化しており、岩井地内へ移転する予定だ。

 組合の消防事業は、古河市と下妻市、坂東市、常総市(石下地区)、八千代町、五霞町、境町の7市町が対象となっている。消防庁舎は当初、18施設を13施設に集約する計画だった。しかし、21年度に古河消防署駅西出張所を整備して19施設となったため、14施設への集約に変更した。また、再配置計画の見直しの際には、この計画を策定後に発生した東日本大震災や関東東北豪雨災害による被害を考慮したものとなっている。20年度には「消防力適正配置検討部会」を設置して検討を進めるとともに、消防防災科学センターで調査を行った。

 管内の消防庁舎は主に1967年から81年ごろに集中的に建設したもので、老朽化が進んでいる。さらに施設の半数が浸水エリアに立地しており、今後も大型台風やゲリラ豪雨などの浸水被害を受ける可能性が高いことから大きな課題となっている。また、発足時と比べて道路状況が改善されたことや、新たな工業団地の設立が進んでいることなど周辺の環境や社会状況が大きく変化している。

 改定計画では、古河・下妻・坂東消防署管内に立地している19施設を14施設に集約する。その結果、3署(本部は併設)と10分署、1出張所の合計14署所体制とする見通しだ。

 古河消防署管内では、組合消防の中枢機能を担う古河消防署と消防本部が、洪水ハザードマップにおける10m未満の洪水浸水域にあたり水害の危険度が高い状況にある。そこで、管内で最も水害危険度の低い三和分署を建て替えて古河消防署とし、本部機能を併設する。建て替えにあたっては、上大野出張所を統合するとともに、三和分署付近で機動性の高い幹線道路付近への建設が望ましいとされた。また、古河消防署は建物が比較的新しいため、分署規模に縮小して中田分署とする。

 住吉分署は、老朽化が進んでいるため早期の建て替えが求められている。圏域内で最も管轄する人口や世帯数が多いため、水害危険度が低く平常時の災害に運用効果の高い候補地へ建て替える。古河市の中心的な役割を担う施設となるため、複数の消防隊を配置する必要がある。

 五霞分署は五霞町の大半が洪水浸水域であることから、水害危険を回避することは現実的ではないと判断。そのため、平常時の災害を優先し、運用効果の高い現在地付近が望ましいが、建て替え時には浸水対策も考慮とした。

 総和消防署は、機動性の高い国道4号の近くに位置することに加え、平常時の災害を優先することから分署規模に改める。駅西出張所は、古河駅西口地区の最も人口や住宅が密集している地域に位置する。浸水域にあたるが、平常時の災害を優先して浸水対策を施した。

 下妻消防署管内では、下妻消防署を大木地内へ移転して建て替えることが望ましいと明記。移転の際には上妻出張所を統合し、水害危険性を重視して南原平川戸線と下妻市街地に通ずる交差点付近へ配置する予定で、早期の建設が求められている。管内の庁舎のなかでも老朽化が進んでいるうえ、敷地が狭いため移転改築が必須となる。

 千代川分署は高道祖出張所と統合し、建設時には浸水対策を考慮して谷和原筑西線の旧下妻市と旧千代川村の接点付近に配置する。石下分署は浸水域にあるが、平常時の災害を考慮して現在地付近とする。ただし建設時には浸水対策を考慮する。八千代分署は水害の危険がないことから、現在地付近が望ましいとした。

 坂東消防署管内では、坂東消防署の建て替えが計画されている。坂東消防署庁舎は、施設の老朽化に伴い、現在の坂東市辺田から岩井字西ノ台267番地の1万2899平方mの敷地に移転して建て替える。建設にあたっては寺久分署を統合する。設計は楠山設計(東京都千代田区)で策定。工事は23-25年度の3カ年で実施する予定で、当初予算には16億1030万円の継続費を設定している。

 11月には建設工事の一般競争入札を公告したが、資材価格や労務費の高騰などにより積算の見直し作業を行うことになった。見直し作業を1月末までにまとめ、今後の方向性を検討する考えだ。新庁舎はRC造2階建て、延べ2214平方m。このほか車庫や訓練塔、防災倉庫を併せた規模は1025平方m程度とする。

 七郷出張所と飯島出張所は、統合して中里地内に移設し中里分署とする。猿島分署は現在地付近で維持するとした。境分署は境町上小橋地内の文化村付近に設置し、平常時の災害を優先していく。ただし、浸水域にあたるため、建設時には浸水対策に考慮する必要があるとしている。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.