一宮川流域災害検証会議 浸水対策の事例提示(千葉県)
一宮川流域における令和5年台風第13号による災害検証会議(座長・加藤孝明東京大学生産技術研究所教授)の第3回会合が26日、ウェブ方式で開かれた。今後の浸水対策を検討するための事例が示されたほか、浸水シミュレーションモデルの構築に向けて意見を交わした。
検証会議では、一宮川の現状を確認し、河川や背後地の特性について、委員間で共有するため、12日に現地調査を実施。仮締め切り堤防の高さが不足する5カ所のほか、八千代橋付近を調査した。
収集した洪水時の写真や動画などから堤内地の水位の時間変化を確認。これらを踏まえ、浸水被害のメカニズムを解明していく。
県は、一宮川流域の特性や対策の費用対効果、対策の実現性などを踏まえ、浸水対策のあり方を検討するため、全国的に実施されている浸水対策メニューを収集し、対策案を洗い出した。
ハード対策として▽河道掘削・築堤・引堤・護岸法立て▽雨水貯留浸透施設▽ため池の活用▽田んぼダム▽地下貯留施設▽雨水貯留管▽雨水貯留・放流施設▽放水路・分水路▽遊水地▽二線堤──などを整理している。
委員からは「一宮川流域の特徴や土地利用など考慮して浸水対策を検討し、重層的に取り組んでいくことが重要」などの意見が出された。
この会議では、2023年9月8日の台風13号の接近に伴う大雨により、一宮川流域で浸水被害が発生したことを受け、浸水メカニズムを検証し、今後の浸水対策のあり方を検討している。
台風13号では、県内で線状降水帯が発生し、一宮川中流域の茂原市で記録的な降雨を観測。一宮川流域の河川が氾濫し、甚大な浸水被害が発生した。浸水面積は1554ha、浸水戸数は2061戸に及ぶ。19年10月の浸水被害に比べ、浸水面積は200ha減少し、浸水戸数は半減している。