田中調節池の大規模改良 堤防整備に本格着工へ(利根川上流)

[2024/1/26 千葉版]
 国土交通省利根川上流河川事務所は、新規事業化された田中調節池の大規模改良事業について、堤防の整備に本格着工する。初弾となる囲ぎょう堤整備工事を年度内にも公告する方向で検討している。千葉県柏市新利根地区で3万m3の盛土工などを進めていくもので、発注規模は2~3億円を想定している。

 大規模改良事業では、調節池と堤内地を仕切る「周囲堤」や、利根川と調節池を仕切る「囲ぎょう堤」を整備する計画。堤防の詳細設計業務はオリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区)が担当している。

 周囲堤の計画延長は6.3kmで、現況の堤防をかさ上げし、法面を5割勾配に拡幅する計画。柏市の塩辛地区や布施下(上流)地区、我孫子市の久寺家地区などの延長1.6kmを対象に詳細設計を進めている。

 囲ぎょう堤の計画延長は5.6km。延長2.6kmの詳細設計を進めるとともに、堤防整備に必要な工事用道路(延長5.3km)を先行整備する。

 測量はパスコ(東京都目黒区)、地質調査は応用地質(東京都千代田区)がそれぞれ担当。このほか、洪水調節機能向上検討業務を建設技術研究所(東京都中央区)に委託して進めている。

 田中調節池は、我孫子市と柏市にまたがり、利根川と鬼怒川の合流点下流の右岸側に位置する。現在の洪水調節容量は約6100万m3となっている。

 治水機能を向上させるため、大規模改良を施す。調節池の堤防をかさ上げするとともに、越流堤を約6・2km上流に移設する。調節池の貯留水位を約80cm上げて、洪水調節容量を1100万m3増設する計画だ。

 総事業費は約470億円を概算。このうち工事費は251億5000万円を見込む。その内訳は築堤82億8000万円、樋門・樋管・排水門9億2000万円、樋門・樋管30億6000万円、越流堤の移設89億8000万円、排水路20億8000万円など。

 令和元年東日本台風では、菅生調節池や稲戸井調節池の貯水率はおおむね100%となった一方、田中調節池の貯水率は約70%にとどまる。流下能力が低い河口部では、沿川で浸水被害が発生しており、無堤防区間の堤防整備とあわせて、田中調節池の早期改良が求められている。

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