県植物園に宿泊施設 リニューアルの計画案を示す(県林政課)

[2023/1/24 茨城版]
 県林政課は県植物園のリニューアルに向けて基本計画の策定を進めている。計画案によると、基本コンセプトには「緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園」を掲げた。主な施設としては、宿泊施設や温浴施設、レストラン、ボタニカルゲート、バーベキュー場、バニラドームカフェなど盛り込んだ。概算事業費は約30億円と試算。今月中にも基本計画をまとめ、基本設計の公募型プロポーザルの手続きを開始する見通しだ。今後は年度内に基本設計をまとめ、24年度に実施設計と工事を行い、25年4月のリニューアルオープンを目指す。20日に那珂市総合センター「らぽーる」で開催した地域説明会で県が明らかにした。

 この事業は老朽化や利用者減少が進む県植物園と県民の森のリニューアルを行うもの。対応方針は、施設の現状や利用状況を踏まえ、植物園としての機能を活かしつつ、県内外からの集客を実現できる魅力あふれる施設への一新を図ることを掲げた。その際には、民間のアイデアを活用し、新たなコンセプトを導入することを想定する。概算事業費には約30億円を試算。23年11月には基本計画のプロポーザルを実施し、事業者にザファーム(千葉県香取市)を選定。現在は基本計画の策定作業を進めている。

 施設の規模は、植物園が12haで、内部に管理事務所(RC造250平方m)や研修資料室(RC造170平方m)、展示室(RC造280平方m)、レストハウス(RC造166平方m)、熱帯植物館(SRC造2694平方m)を配置。県民の森は64・7ha、森のカルチャーセンターは木造648平方m、きのこ博士館は木・RC造1148平方mとなる。

 基本計画がある程度まとまったことを受けて、20日には地元説明会を開催した。基本コンセプトは「Botalassian Resort IBARAKI(仮)-緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園-」とし、▽日本で唯一の「泊まれる植物園」▽日帰り・宿泊に対応した新しいリゾートへ再生▽自然を感じながら、植物を学び・親しみながら、大人も子供も楽しい植物園に──を盛り込んだ。

 今回のリニューアルで新設する施設は、▽宿泊施設▽温浴施設▽レストラン▽バーベキュー場▽ボタニカルゲート──となる。このうち、宿泊施設は植物園の敷地内にコテージやグランピングを数十カ所整備していく。

 温浴施設は、温泉を想定。施設は植物園の入口付近に設置する。内部には露天風呂やサウナ、リラックスルームなどを盛り込む。リラックスルームについては、ボタニカルな雰囲気の空間とする。温泉は敷地内で掘るのではなく、園外から運ぶ計画となる。レストランは園の中央に配置。地元食材を利用した料理を提供していく。

 また、熱帯植物館では一部を改修し、内部にカフェを整備。その際には、100本単位のバニラの木を植え、香りを楽しめる「バニラドームカフェ」とする。なお、熱帯植物館の既存の機能は維持していくという。

 アクティビティでは、ツリーアドベンチャーやボタニカルワークショップ、ナイトライトアップなどを予定する。ツリーアドベンチャーでは、ジップラインや、森を活用したアスレチックを想定。設置場所は植物園と県民の森の間あたりを予定している。

 ワークショップは、県民の森内に位置する森のカルチャーセンターを活用する。自然観察会や木材加工を想定する。

 説明会の参加者からは、施設整備に対する批判的な意見はでなかった。地域住民からは、敷地内のトイレの改修や温浴施設の利用方法、お土産の取り扱いなどの要望があったという。

 今後のスケジュールとしては、今週中にも基本計画をまとめ、公表する予定。その後、1月中にも基本設計の公募を行い、2月には事業者を選定し、3月に基本設計をまとめる。4月には実施設計と施設整備、改修工事、指定管理に係る公募を行い、5月に事業者を選定。6月に議会で承認を得た後に着手する予定となっている。

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