河道掘削や築堤、護岸 名草川の改修 宮前橋上流の1.3kmで(栃木県河川課)
[2024/1/23 栃木版]
県河川課は2024年度から、一級河川名草川の河川改修事業に着手する。事業区間は、下流端の宮前橋から上流端の中通橋までの延長約1300mとし、河道掘削や築堤、護岸工および道路橋2橋の改築などを行って、確率規模2分の1の洪水を安全に流下させる。測量設計は24年度から2年間で、工事は26年度から8年間でそれぞれ実施する計画で、総事業費は約27億円を見込む。
名草川は、足利市名草上町から足利市街地を流下し、一級河川袋川に合流する流域面積20.7平方km、管理延長11.0kmの河川。このうち、足利市利保町地先から菅田町地先までの区間は川幅が狭く流下能力が不足しており、近年では平成18年7月豪雨や令和元年東日本台風で、家屋や農地などに浸水被害が発生している。
またこの区間の下流側では、一級河川袋川との合流点から宮前橋までの延長約800mの区間で、大規模特定河川事業により掘削や築堤、護岸などを実施しており、事業の進捗が図られている。このため県は、その上流でも切れ目なく整備できるよう、24年度から事業に着手する。
計画によると、事業区間は下流端の宮前橋から上流端の中通橋までの流下能力が不足している延長約1300mで、河道掘削や築堤、護岸工などにより流下能力の向上を図る。計画流量は下流側の河川改修事業と同じく毎秒110立方mとし、概ね2年に一度の割合で発生する洪水流量を安全に流下させるよう整備する。
工事の内容は、掘削が約2万9000立方m、築堤が約1万1000立方m、護岸工が約1万6300平方mで、構造物は柳原橋と第二柳橋の道路橋2橋を改築する。代表的な横断計画は、河道幅を整備前の約18mから約22mへと拡幅し、両側に天端3m幅で築堤を行う。
事業予定期間は24年度から33年度までの10年間とし、このうち測量設計は24年度と25年度の2カ年で、用地補償は25年度から30年度までの6年間で、工事は26年度から33年度までの8年間でそれぞれ実施する。
総事業費は約27億円を見込み、国と県がそれぞれ50%を負担する。事業費の内訳は、測量設計費が約1億円、用地補償費が約13億円、工事費が約13億円となっている。
この事業により、氾濫シミュレーションの結果では計画規模の洪水に対し、約111haの浸水被害が解消される見込みで、浸水家屋1316戸の被害も解消される。また、主要地方道足利環状線の浸水被害が解消され、緊急輸送道路の機能が確保される。