機能や役割を協議 「文化と知」の創造拠点検討委(県総合政策課)

[2024/1/11 栃木版]

 県総合政策課は10日、県庁舎内の会議室で第3回「文化と知」の創造拠点整備構想策定検討委員会(委員長:須加英之宇都宮共和大学・宇都宮短期大学学長)を開催した。今回は、「文化と知」の創造拠点の機能や役割について協議し、委員がそれぞれ意見を出し合った。なお次回の委員会は3月に開催する予定で、基本理念・コンセプトの中案案を取りまとめるほか、整備計画や管理運営計画について検討する予定。2024年度中には整備構想案を取りまとめ、引き続き6~7年程度の期間で設計および建設工事を実施する見通しとなっている。

 委員会ではこれまで、基本理念・コンセプトにつながる視点として「開く」「つなぐ」「生み出す、育む」の3つを抽出した。今回の委員会ではこれらの視点を整理したほか、各施設の機能と役割を整理し、また3施設が連携した機能の考え方を整理した。

 各施設の基本的な機能は、美術館が▽収集・保存▽展示・公開▽調査・研究▽教育・普及▽来館者サービス-の5つ、図書館が▽収集・保存▽提供(展示・公開)▽調査相談▽図書館の支援-の4つ、文書館が▽収集・保存▽展示・公開▽調査・研究▽調査相談▽教育・普及-の5つを位置付けた。

 また、新たに求められる機能としてデジタル技術を活用し、誰でも・いつでも・どこからでも文化芸術活動に参加できる仕組みづくりや、情報にアクセスできる環境整備が求められるとしている。

 3施設が連携した機能の考え方は、「収集・保存」について資料保存に係る技術や設備などの共有や相互利用、「展示・公開」で同一テーマでの連携展示の実施や利用者が収蔵資料を横断的に検索できるシステムの構築などを挙げた。また「来館者サービス」では、利用者の利便性向上と3施設の相互利用につながる総合的な案内や、3施設の来館者が集い・憩い・交流できる場(カフェ・レストラン、ショップなど)の充実を図る。

 新たな考え方の整理としては、「デジタル」で誰でも・いつでも・どこからでも利用できる仕組みや、デジタルを用いた表現を体験できる場を提供する。「地域連携」では、県内の様々な産業との連携や、県内外を結ぶ観光や周遊の拠点とする。

 委員からは、美術館、図書館、文書館の専門家がそれぞれ盛り込むべき機能について意見を述べたほか、3施設が連携した機能の考え方で災害時の拠点としての機能を盛り込むことや、地元食材を提供するレストランなど地域の魅力を発信する施設とすることで、県内誘客の拠点とすることなども提案された。

 さらに、県内外からのアクセス性の向上が重要であるとして、桜通り十文字付近へのトランジットセンターや遊歩道・アクセス道路の整備を指摘する意見や、宇都宮市のまちづくりと整合を図ることが必要といった意見も出ていた。

 検討委員会はこの後、第4回で基本理念・コンセプトの中案案を取りまとめるほか、整備計画や管理運営計画、事業計画について検討する。引き続き、第5回では整備計画、管理運営計画、事業計画を取りまとめ、第6回で整備構想案をまとめる予定となっている。

 なお、「文化と知」の創造拠点整備基本構想策定支援業務は、公募型プロポーザルで特定したPwCアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、吉田あかね代表執行役)と昭和設計東京事務所(東京都港区、鳥居久人取締役所長)の共同企業体に委託している。さらに事務局から委員に、このあとPFI等導入可能性調査も実施していくと説明した。

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