新病院開院は28年度めど 統合で宮城県が基本合意(仙台赤十字とがんセンター)

[2023/12/23 宮城版]

左から基本合意書を手にする渡部本部長、村井知事、張替理事長

左から基本合意書を手にする渡部本部長、村井知事、張替理事長

 県と日本赤十字社、県立病院機構は22日、仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合に向けた基本合意書を交わした。両病院の統合による新病院は、日赤が名取市植松入生地区に建設して運営する。病床数は400床程度とする。開院時期は2028年度をめどとする。

 新病院の医療機能は[1]救急医療[2]周産期医療[3]がん医療[4]災害医療[5]新興感染症対応──の5つを備える。診療科は、既存の両病院が持つ診療科を基本とし、詳細は県と日赤、県立病院機構が協議した上、基本計画で決定する。

 整備場所については、名取市から提案のあった植松入生地区に決定。この場所は国道4号沿いで敷地面積が4778平方m。建築規制がほとんどなく自由なプランニングが可能となっている。整備費の一部は県が日赤に対して支援する。

 22日は県庁で基本合意締結式が開かれ、村井嘉浩知事と、仙台赤十字病院を運営する日赤の渡部洋一医療事業推進本部長、県立がんセンターを運営する県立病院機構の張替秀郎理事長が出席。協定書を取り交わして合同記者会見に臨んだ。

 村井知事は病院統合について、仙台医療圏における救急医療や周産期医療といった政策医療の課題解決と、がんを総合的に治療できる機能を持った病院の実現を目指すものと説明。3者で基本合意を締結できたことは「県の政策医療にとって非常に大きな前進」と力を込めた。

 基本合意で立地場所や運営主体などの基本事項が決定できたため、今後は28年度の病院開設を目指し、「具体的な診療科や人員体制などについて検討する」と述べた。

 渡部本部長は仙台赤十字病院の建物が築42年と古く、現地建て替えも周辺が仙台市の緑地保全地域に指定されていて困難と判断したことを説明。統合で移転することに関しては「宮城県全体の将来を見据えた地域医療に貢献するため、また仙台赤十字病院が将来にわたって継続的に地域医療を行っていくため、県からの提案を受け入れた」と明かした。

 新病院の建設時期については「着工がいつかは全く不透明」としつつ、「できるだけ早く基本設計に入りたい」と述べた。

 張替理事長は統合により「さまざまな合併症のがん治療もできるようになる」と話し、「非常に魅力的でアクティビティの高い病院になるよう尽力する」と意気込んだ。

 県が構想している県立精神医療センターと東北労災病院の合築については、村井知事が「精神医療センターのサテライト機能をどうするかを決めてからでないと次のステップに進めない」との見方を示した。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.