最優秀案に横須賀JV 神栖特別支援学校の設計プロポ
[2023/12/19 茨城版]
(仮称)神栖特別支援学校新築工事基本・実施設計プロポーザル特別審査委員会(委員長・熊澤貴之茨城大学教授)は15日、県庁でプレゼンテーションの審査を行った。3JVからの提案を審査した結果、最優秀案の提案者に横須賀・河野JVを選定した。この結果を受けて、県では今週中にも各種手続きを行い、同JVを設計業者に選定する見通しだ。今後は同JVと契約を締結し、基本・実施設計に着手する。設計は24年度内にまとめ、25年度からの着工し、27年4月の開校を目指す。
この事業は、神栖市域から長時間をかけて鹿島特別支援学校に通学する児童生徒の通学に係る心身の負担軽減を図るため、神栖市内に特別支援学校を新設するもの。建設地は神栖市須田地内で、若松運動場の東側、若松運動場テニスコートの南側に位置する市有地約2haとなる。敷地内には、校舎棟や体育館、グラウンド、圃場、駐車場、バスターミナルなどを整備する。
施設の規模は小学部と中学部、高等部で合計約150人、35学級を想定している。体育館は延べ800平方m程度とし、福祉避難所としての利用も想定。駐車場は職員用と来客用、保護者の送迎用を含めて約160台分を確保していく。建設費や設計費などを含めた概算事業費は約40億円に設定した。このうち、外構工事を含む本体工事費は約34億2000万円と試算。また、設計委託料は、9月補正で2億5800万円を確保している。
今回のプロポでは、校舎棟と体育館の新築設計を行う。その際には、重複障害を含めた児童生徒の教育的ニーズに対応した適切な指導ができる環境や、児童生徒が伸び伸びと学べる環境を実現できるよう、さまざまな提案を広く求めていた。
最終審査では3JVがプレゼンテーションを行った。このうち、最優秀案に選ばれた横須賀・河野JVの提案では、主なポイントとして、コンパクトな施設を目標に掲げたと説明。これは、同JVが鹿島特別支援学校を見学した際、動線が長く、分かりづらいことが気になったことに対応するもの。そこで、建物を小さくまとめ、回遊できる形にすることで、先生と生徒たちが、安全で最短の動きができるよう工夫したという。また、施設をコンパクトにすることで、建設のコストを縮減することも可能にしている。
配置計画では、敷地の北部に駐車場、南西部にグラウンド、南東部に校舎棟を配置する。このうち、駐車場はアクセス道路側に配置し、歩車分離を徹底していく。規模は約170台程度を確保する。バスターミナルは大型バス5台以上が駐車できるレーンと、放課後デイサービス送迎用のレーンを確保する。
グラウンドは150mトラックを確保できる大きさとする。また、既存の運動公園と隣接させることで、イベント時には解放することも想定する。グラウンドの東側に校舎を配置することで、東側からの海風による砂の舞い上がりを抑えることも期待できる。
校舎は豊かな自然に囲まれた中、住宅の立ち並ぶ景観に調和するデザインとした。分節された機能にあわせ、勾配屋根を掛けることで、住宅に近いスケール感とする。
校舎棟の構造は1階部分をRC造、2階部分を木造とRC造の平面混構造を採用。平面的に分節された部分をRC造とすることで、防火区画を形成し、木造表しを可能とする。延べ面積は7347平方mとしている。
内部には管理、特別教室、普通教室のほか、「みんなの庭」やプレイルーム、多目的ホールなどを配置。また、体育館は校舎と一体化し、日常的に利用しやすい広場とした。このうち、「みんなの庭」は中庭となり、木工室や図書室などと連携した活動を自由に行うことができる場とする。
プレイルームでは、大階段を利用した発表会や演奏会、体育館と連携した展示、図書室と連携したグループ学習など、さまざまな活動を展開することができる。また、中庭を連続させることで、外部環境を取り込んだ活動も可能な場とした。
委員会の審査結果を受けて、県では今週中にも横須賀・河野JVを設計業者に選定する予定。今後は来年1月中にも契約を締結し、基本・実施設計に着手する。その後、24-25年度にかけて工事発注手続きを行い、25-26年度で工事を実施していく流れとなる。