神立病院移転で協定 建設地は稲吉南の敷地2万平方m(かすみがうら市)
[2023/12/15 茨城版]
かすみがうら市と医療法人社団青洲会神立病院(平塚圭介理事長)は8日、市役所で同病院の移転建設や運営に関する基本協定の締結式を開催した。宮嶋謙市長と平塚理事長が基本協定を締結。移転場所は稲吉南2丁目地内の敷地約2万0366平方mとなる。また、協定では、同院に新たに産科の診療所を設置することも盛り込んだ。開院時期は27年度を目標に掲げた。青洲会では、基本協定の締結を受けて、これから基本・実施設計に着手する見通しだ。
基本協定の内容をみると、移転場所は稲吉南2-2625-3の敷地2万0366平方mとなる。開設目標時期は27年度とし、土地の賃貸借期間は50年に設定した。診療科目は内科と外科、整形外科とし、病床数は160床、緊急医療を現在と同様に継続する。また、災害や新興感染症発生時の協力も行う。
支援措置としては、緊急医療提供の取り組みに対する支援や、産科を有する有床診療所の建設・運営に対する支援を盛り込んだ。このうち、産科の新設については、かすみがうら市周辺で産科を有する病院が少ない状況に対応するためのものとなる。ただし、産科の診療所を新設するためには、複数名の医師の確保が必要になる。そのため、診療所の開設が神立病院の開院に間に合うかどうかや、診療所の配置場所などについては未定としている。
稲吉南2丁目の用地は当初、市が複合交流拠点施設を整備するために22年度に敷地約2万8000平方mを取得した。この施設は窓口機能の移転とサービス拡充、都市計画道路神立停車場線沿線区域へのコミュニティ機能の新設を理由に整備を行うもの。また、敷地内には防災機能を有した公園も整備する計画であった。
22年7月の市長選では、計画の見直しを公約に掲げる宮嶋市長が当選した。これを受けて、中止を含めた計画の見直しを実施。その結果、複合交流施設整備は計画を進めるが、建設地をより市街地に変更することを決定。また、購入した用地については、にぎわいを創出する公園として整備していく方向性を示していた。
その後、青洲会から神立病院の老朽化対策として、当該地の約2万平方mを病院移転に活用したいという申し出があった。これを受けて市では、土地利用の方針について、公共利用から民間活力を活用した土地利用へ転換を図ることを決定。そのため、当該地で予定していた公園整備は、実施しないことになった。
民間活力の利点として市は、▽病院の市内立地による市民の医療水準の向上や周辺土地における民間事業者による賑わいの創出など、地域活性化や発展につながる▽中長期的な市の負担がなくなることにより、健全な財政運営が図られる▽土地貸付による貸付料収入や建築などの固定資産税の収入が見込める──などを挙げる。
神立病院は、土浦市神立中央に位置し、1982年に開設。病床数は一般病棟60床、回復期病床47床、療養病床53床の合計160床となる。
本年5月には市と神立病院で基本協定の締結に向けた覚書を交わした。その後、基本的事項を整理し、8日に基本協定を締結することになった。
病院進出後に残る8000平方mの用地についても、市は民間活力の活用を想定。現時点では、中心市街地の活性化に向けた商業系などの活用を予定しているという。
なお、複合施設の整備については、新設や既存施設の活用も含めて検討を実施している段階にある。新施設の機能については、図書館や多目的ホールを想定。それ以外の機能ついては、地域住民の意見を反映しながら決定していく。ただし、現時点で今後のスケジュールは未定としている。